花陰に果実 (Page 6)
ぴくぴくと絶頂の余韻に体を震わせている女の膣から、どろりと精子が流れ出てきた。その様を眺めながら高尾は、急速に頭が冷えていくのを感じる。
最初に感じたのは動揺だった。
やってしまったという後悔が次いで胸を満たす。
どうしよう、ともたもたと考えている内に女がのそりと体を起こした。
「たかおさん」
それだけ言って、彼女はにっこりと笑った。
それだけだ。
蝋燭の火を吹き消すように、女の姿が掻き消える。
はっとして、部屋を見回すが高尾の他には誰もいない。
「終わった? 随分派手にヤってみたいだけど」
御岳が不意に姿を現し、慌てて高尾は下半身を隠す。まだ、袴を身に付けていない。丸出しなのだ。
「何やってんの?」
「えっ、それは……」
思わず見下ろした高尾の下半身はしっかりと袴を身に付けている。それどころか先程まであった射精の余韻も疲労感も何一つとして残っていなかった。
「じゃあ、ここからはあたしの仕事だから」
御岳は巨大なゴミ袋を手に部屋に入ってくると、床に堆積した枯れた花を次々とその中に放り込んでいく。
花はカサカサに乾燥しているものから、腐敗しているものまで様々だった。そして、すっかり花が取り払われると、その下からはどす黒い人型の染みが現れる。
「これは……」
「さっきあんたが相手にしてた人が死んだ跡。まあ、事故物件にしちゃ、大人しい方だったんじゃない? どっかから花を摘んでくる程度の悪さしかしなかったんだし」
高尾は呆然と黒い染みを見下ろすしかなかった。
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