秘密の夜の散歩
林川賢治は飲み会の帰り、公園で全裸で歩いている女性に出会う。露出趣味がやめられないという女子校生の柊愛莉に頼まれて、他の人に見られないように見張りをすることになる。しばらくはうまくいっていたが、そのうち愛莉がもっと刺激を求め始め、賢治はこれ幸いと愛莉と関係を持っていく。
林川賢治は夜の公園をふらふら歩いていた。
会社の飲み会で飲み過ぎたため、足元がおぼつかない。
時間が遅いこともあって、大きな公園内には誰もいない。と、白い人影がこちらに向かってきた。
「んあー? まさか、幽霊か?」
賢治はふらふらしながら木の陰に隠れた。
目をこらしてみると、幽霊じゃなくて人間であることが分かった。
しかも、白く見えたのは服ではなく、裸だったからだった。若い女性が全裸で歩いている。
酔いがいっぺんにさめた。
スニーカーを履いている以外は何も身につけていない。街灯の下に差し掛かると、スレンダーな裸体がはっきり見えた。
迷った末、賢治は思い切って木の陰から出て声をかけてみた。
「あの……」
「きゃあっ」
女性が悲鳴を上げてしゃがみ込んだ。長い黒髪が細い背中に広がる。
「えっと……」
そのまま動こうとしないので、賢治はとりあえずスーツの上着を脱いで女性の肩にかけた。
女性が顔を上げる。まだ若い。女性というより少女という方がしっくりくる。大きな瞳をパチパチさせて、幼いながらも知性を感じさせる顔立ちだった。
「大丈夫ですか? なにか事件に巻き込まれたとか……?」
「いえ、違います……あの、このこと、誰にも言わないでもらえませんか」
「それはいいけど……気になるから事情を聞いていい?」
「……はい。とりあえず、服を着ていいですか」
ワンピースを着た少女と並んでベンチに座る。
少女は柊愛莉という名前で、近くの学校の女子校生だと言った。
「露出するのが気持ちいいって気づいたのは最近で……たまに家を抜け出して、きわどい格好をしたりしていたんです。裸になったのは今夜が初めてで……」
「そこを俺が見ちゃったってわけか」
「あのっ」
愛莉が賢治の腕をつかんだ。
「私、この趣味をやめられそうにないんです。できれば、林川さんに人に見られないように見張っててほしいんです」
「俺が?」
大人としては止めるべき、でもこんなおいしいチャンスを逃がすのはもったいない。
「それじゃあ、覚悟を見せてほしい。俺の前で裸になってみて」
「え……」
「できないなら、もうやめた方がいい。どうする?」
愛莉がつかむ手に力を入れた。
「やります」
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