人妻の誘惑は断れない (Page 2)

該当のエアコンがあるリビングに入ると、ふわりと果物のような甘い香りがした。それがどこから香っているのかわからないが、博はどこかエロティックなその匂いに鼻をひくつかせた。

「どういった不具合でしょうか」

エアコンに目をやりながら博が尋ねると、夏美は振り返って一歩博に近づいた。そして困ったように眉を寄せて答える。

「風量の調節ができないみたいなんです、リモコンで風量を変えてもずっと同じ勢いの風で…」

「そうでしたか、それじゃぁちょっと見てみますね」

どぎまぎしながら博が言うと、夏美は上目遣いに博の目をじっと見て、にこりと笑った。

「ええ、お願いします」

甘えるような声色だと博が感じるのは、博が夏美を性的な目で見ているからだろうか。
甘えるような声であって欲しいと思うから、そう感じてしまうのだろうか。
自分の中の邪な気持ちに蓋をするように、博は頭を切り替えてエアコンに向かった。

エアコンの真下、ソファーの横に脚立を立てて作業に入る。
風量調節に関係する回路を見てみるが、目立った故障はみとめられない。
別の部分の不具合が影響しているのかと、博は考えられる箇所を入念に調べ始めた。

 

 

エアコンの不調の原因が突き止められないまま10分ほどが経過した時、カランという音がして夏美から声がかかった。

「良かったら、冷たい麦茶いかがですか?」

作業に集中していた博がはっとして振り返ると、脚立の真下に夏美がグラスを持って立っていた。

「あ、すみません」

上から見下ろすと夏美の乳房はキャミソールからこぼれんばかりに大きく、さきほどまでより迫力があるように博は感じた。
普通だったら乳首まで覗いてしまいそうな胸のあき具合だが、夏美の乳房があまりに大きく、どう見てもノーブラだが布地をぱつぱつに張らせているため覗く隙間はない。

作業のために喉が渇いていたのは確かだが、それだけでなく博は異様な渇きを感じてごくりと生唾を飲んだ。

「いただきます」

そう言って一段降りて夏美からグラスを受け取ろうとした博だったが、渡される瞬間に手が滑り、中身を全てぶちまける形でグラスを落としてしまった。

ガシャン、と大きな音がして夏美が小さく悲鳴を上げた。

「っ…あ、すみません、すみません!」

博は動揺して脚立から降りきり、グラスを拾ってローテーブルに置いた。幸いグラスは割れておらず、夏美にもぶつかってはいなかった。
しかし上からこぼれてきた麦茶をかぶった夏美の上半身はしとどに濡れている。

「いえ、大丈夫ですよ」

夏美が答えるのもきかず、慌てて博は自分の首に巻いていたタオルで夏美の身体を拭こうとした。
しかし触れる寸前のところではたと後ろめたくなり、動けなくなってしまった。

薄手のキャミソールワンピースは濡れたことで透け、肌に一層張り付いている。
うっすらと乳首が浮いてくる様子から、もう博は目を逸らすことができなかった。

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