ひと夏の思い出 (Page 3)

 次の日、花ねぇは昼過ぎにやって来た。

「ごめん、配達が多くてさ。お昼過ぎちゃったね、すぐ作るから」

 台所に行こうとする花ねぇの手首をつかんで止める。

「日に焼けてない所、全部舐めていい?」

 Tシャツをめくり、うなじの下からお尻まで舐めながら下がっていく。

「んうう……」

 内股を舐め、ヒダを指でかき分けるともう充分に潤っていた。

「ああ……!」

 正常位で貫くと、花ねぇが感極まった声を上げた。

「あんっあんっ」

 突きに合わせて腰を振る動きが、愛しく思えた。

 

 日焼けしているか微妙だったのでためらったが、キスすると応えてくれた。

「くうっううん……!」

 花ねぇが体を痙攣させて極め、俺も精を放った。
 
「いっぱい出したねえ」

 中身の詰まったコンドームをもて遊びながら、花ねぇが笑った。

 行為後のけだるさに任せて、裸のまま布団でゴロゴロしている。そんな時間も心地良かったが、ずっとそうしている訳にもいかない。

「あのさ、花ねぇ」

「うん?」

「俺、いつまでもこっちにはいられないんだ。仕事もあるし、明日には帰らないと」

「……そっか……」

 俺たちは裸で抱き合ったまま、しばらく黙った。

 

「彼女とは仲直りしたの?」

「まだ。でも、謝ろうかなって」

「そう」

 花ねぇが起き上がった。

「じゃあ、これで終わりだね」

 花ねぇはあっさり言った。
 
 

 バスを待っていると、花ねぇの軽トラがやって来た。

「間に合ったね。これ、店のだけど持っていきなよ」

 ビニール袋に缶ビールが何本か入っていた。

「ありがとう」

 

 会話が弾まないまま、やがてバスが来た。

「あのさ、花ねぇ……」

「たまには帰ってきなよ。田舎だから、つまんないかもしれないけどさ」

「……うん」

 

 俺はバスに乗り込んだ。後ろの席に座って振り返る。

 花ねぇは軽く手を上げて見送っていた。寂し気なその姿を眺めていると、衝動的にバスを降りて抱き締めたくなった。

 だけど俺はバスを降りることもなく、花ねぇが見えなくなるまで窓から眺めているだけだった。

(了)

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