保険外交員の淫悦契約 (Page 3)

 腰から引き剥がされた手で、板垣は佑貴子の手を取り股間へと持っていく。彼のそこはとっくに勃起しており、ズボンの前がぱんぱんに膨らんでいた。
 その様を一瞥し、佑貴子がくすりと笑う。侮蔑ではなく、我儘を言う子供を笑うような気配だった。

 だが、行為は子供にはとても見せられない淫靡なもの。彼女の細い手が蛇の舌先のように蠢き、ズボン越しに板垣の肉棒の先端を引っ掻く。直接であれば尖った爪で引っ掻かれて快感など生れようもない。それなのにズボンと下着の生地を経由しただけで、痛みはむず痒いようなもどかしさを伴った快感へと変換されてしまう。

「おおっ」
 しばらく女性と縁がなかった板垣は、自慰とはまるで違う性感に喉を逸らして喘ぐ。
 快感に打ち震える男の顔を見た佑貴子は、嫣然と笑む。そして、引っ掻く動きを繰り返していた指が不意に動きを転じさせた。啄むような動きに変えて性器の先端を柔らかく愛撫する。

 人間は慣れる生き物だ。
 それは性的快感も同じこと。強い刺激でも次第に慣れてしまい、快感を得難くなる。だが、佑貴子は男が快感に慣れる前に手を替え品を替え、性欲に溺れさせてしまう。そして、彼女の手技は口付けと同様に、男を溺れさせるには十分な力を持っていた。

 そんな彼女の手がぴたりと止まる。

「出したいですか?」
 息を荒げ、板垣は頷いた。頭の中は射精への欲求で満杯になっている。
「ダメです。イかせてほしかったら、分かりますよね?」
 ぎりっ、と板垣は奥歯を噛み締め、沈黙を守る。
「契約したら、いくらでも出していいんですよ。私の手で出させてあげますから。ね?」
 耳元で蠱惑的に佑貴子は囁く。鼻先に甘ったるい売れた花のような香りがまとわりつく。何度も彼女はこうして男へ囁いてきたのだと板垣は悟った。

「……ざけんな」

「えっ?」
 耳元にあった佑貴子の顔が遠ざかり、花のような香りも薄れた。
「舐めんなっつってんだ」
 言い放ち板垣は椅子から勢いよく立ち上がった。そして、ズボン越しに肉棒を握っていた佑貴子の手首を掴み、万歳ポーズをさせるように頭上高く持ち上げる。
「出してもいいだと? 舐めんじゃねえよ」
「なっ、放して」
 身を捩って抵抗する佑貴子を板垣は易々とテーブルの上に押し倒した。

 輪郭は細身ながらボリューミーな佑貴子の体が自分の下にある。その事実が板垣を興奮させた。
 片手で佑貴子の両手首を拘束し、苦労しながら板垣は彼女が来ているスーツの上着を開く。薄いブラウス越しにキャミソールが透けている。さらにブラウスを開くとキャミソールの精緻なレース編み越しに胸の谷間が見えた。そこへ鼻先を突っ込み、女体の柔らかな芳香を堪能する。

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