彼女の未練と彼女への未練 (Page 3)

「ん、んん、んんんん」

 ガクガクと膝が震えて力が入らず、デスクに手をついて身体を支えながら腰を揺らす。
 もう何度こうしてこの娘に放っただろう?
彼女は俺の弱点を知り尽くしている。
 俺は荒い息をつきながら、ただカナの頭をそっと撫でた。
 俺の肉槍を根元まで口に入れたままコクコクと喉を鳴らすカナが、上目遣いに笑みを浮かべる。
 堪らなく愛しい。もう二度と失いたくない。
 髪を何房か手に取り、少し屈んでキスをした。
 唇に触れた髪はつるつるで、さらさらと流れ落ちて甘酸っぱい匂いを発散する。
 子供のような笑顔を作ったカナの舌が、小さくなり始めた俺の息子をチュッと吸って尿道に残った精を吸い取った。

「ぷは。んふふ、ごちそうさま。いっぱい出たね」

「あ、ああ。気持ちよかった」

「んふ。このままやっちゃう? 私はいつでも準備オーケーだよ」

「こらこら」

 薄いブラウスと濃い色のタイトスカートが消え失せて下着姿になったカナの肩に、俺は慌ててジャケットをかける。

「あん、優しい。もう、この身を捧げるしかないわ」

 彼女はクネクネと体をくねらせて、俺のジャケットごと自分の身体を抱きしめた。
 そして、艶っぽい目を向けてくる。

「逆効果かよ!」

「んぷっ、ふふはは」

「ははは」

 俺のツッコミに耐え切れなくなったように笑い出したカナに、俺も釣られて笑った。
 なんとか椅子に座ると、両手を広げて彼女を誘う。

「ははは、はははは! はは、は、、……ふう。ああ、やっぱりカナといると楽しいな」

「んふふふ、私も浩紀さんといるとすごく楽しい。でも、……気持良くもして欲しいな」

 跪いていたカナが俺の膝の上に座り、胸に頬を寄せてきた。
 甘酸っぱい匂いが鼻をくすぐり、柔らかい彼女の心地よい重さが心を満たしてくれる。

「……ずっと一緒にいたいから」

「うん、知ってる。……あ」

 壁掛時計がカチリと動き、午前3時を告げた。

「毎日、遅くまでお疲れ様。無理しないでね」

「君と会うためなら、そんなの気にならないよ」

「んふ、じゃあもっと愛してくれていいんだよ」

 彼女はいたずらっぽく笑い、姿を消した。
 心地よい体のだるさと、甘酸っぱい香りだけが彼女がここにいたことを告げている。

「カナ……」

 急激な眠気に襲われた俺は、彼女の温もりを思い出しながらデスクに突っ伏した。

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