彼女の未練と彼女への未練 (Page 5)

 ちゅ、ちゅちゅ、ちゅぷぴちゃぴちゃ……

 そんな水音がどこかから響き、徐々に意識が戻ってきた。
 霞のかかった意識の中で、彼女の温もりと香りが形となっていく。
 昨日は昼に一度帰宅して仮眠を取り、夕方に出社してきた。
 どうやらその後、またデスクに突っ伏して寝てしまったらしい。
 懐かしい夢を見ていたような気がする。
 頭のすぐ横に、栄養ドリンクと『お疲れ様です。飲んでください』と、丸みを帯びた字のメモが置いてある。
 海外取引で誰かが徹夜をしなければいけない中、俺が率先していることに部下の女の子が気を遣ってくれたらしい。

「ん、んふ……。おこひは?」

 机の下から聞こえてきた台詞は、何を言っているのかよく分からなかった。
 代わりに、腰から頭のてっぺんにピリピリとした痺れが走る。
 じゅじゅっ、じゅる、チュプチュプチュプ

「あ、カナ、ちょ、待って、起きたとこだから」

「んはあい。ふふ、目覚ましふぇらって、男の夢でしょ?」

 俺の太腿の間から顔を出したカナが、楽しげな笑顔で言った。

「ま、まあ、そうだけど」

「けど? なんか不満? んふふ、そうだよねえ。いいんだよ、お口じゃなくても。……ね、そのほうがいいよね?」

 彼女は自分が大きくした肉槍に頬擦りしながら話しかけた。

「こらこら」

「むう、ダメだってさ。嫌なパパだよね。じゃ、ぺろぺろしたげる」

 カナは俺にチラリと視線を送り、肉茎にピンク色の舌を這わせた。
 ぞわりとした痺れが走り、血液が集まっていくのが分かる。
 ギンギンに張ったエラが痛い。
 先端に浮かんだ水滴がトロリと流れた。

「ほらあ。パパが酷いこと言うから泣いちゃった」

「……カナ、俺は」

「この子でさ……、私のこと気持良くして」

 上目遣いに俺を見つめる焦げ茶色の瞳が潤み、俺の理性を溶かしていく。
『今日は1月21日金曜日です。週末のーー』
 そんな深夜ラジオの声に、俺の中の何かか弾けた。

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