堅物教師と片思い (Page 2)
千夏が初めて隆に告白したのは、高校2年生の時だった。
1年生の時に副担任だった隆は、年齢は30手前だったが浮ついたところがなく、生真面目で笑ったところなど見たことがなかった。
冷たく鋭い目つきのせいか年齢の割に生徒から怖がられ、嫌われている方だったと記憶している。
しかし千夏は、知的で隙のない隆の様子と、数学の授業で見せる懇切丁寧な説明に惹かれていた。
最初の告白はもちろん玉砕した。
どんなに本気だと訴えても、軽くいなされて終わるだけだった。
「困ったな」と眉根を寄せて言ったその表情を、千夏は今でも忘れられない。
2回目の告白は、教育実習で母校に戻った時だった。
隆が担当の指導教員だったのをいいことに、同じように放課後の教室で告白した。
自分はもう卒業した身だし、大学生だが成人している。
気持ちがあれば応えてもらえるはずと期待したがそれでもやはりダメだった。
しつこいと思われるのは覚悟の上で、それでもどうしても諦められなくて結局教員になって母校に戻った千夏だったが、正式に教員として働き始めてから約1年、隆へのアプローチは一切行わなかった。
ここまできたからには千夏の方にも教員として仕事を頑張るつもりはもちろんあったし、それだけが目的だと思われれば隆にはやはり好かれないだろうとも思ったからだ。
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初めて千夏から告白されたのは、彼女がまだ高校2年生、17歳の時だった。
隆はその時教員になって7年目だったがそういったことは初めてで、動揺した。
当たり前のことだが、学生服を着た女子生徒を性的な目で見たことなどなかった。
どんなに発育がいいと言っても実際に子どもなのだから何か反応することもないが、それでも自分の若い頃のことを考えれば「初恋の人」は特別な存在だ。
良く勉強している、という意味で目をかけている生徒のそういう特別な存在に自分がなれたことは悪い気持ちではなかった。
教育実習生として千夏が再び目の前に現れた時は、正直なところぐらつく部分もあった。
その時千夏はすでに成人していたし、2度目の告白で彼女の本気度も伝わった。
しかし自分が指導担当者であるという立場を考えると、恋愛関係になるのはやはりどうしても望ましくないと思えて断った。
いよいよ教員になって同じ学校に勤める同僚に千夏がなった時、自分をまだ好きでいるのか、そんなことが気になる程度には、隆の方も真剣に好意を持つようになっていた。
しかし千夏が同じ学校で働くようになって1年間、彼女からのアプローチは何もなかった。
学生時代はわかりやすいほどあったアプローチがなくなったということは、もうそういう気持ちはないということだと思っていた。
先輩である自分から好意を打ち明けることはやはり相手に気を遣わせるだろうと思ってこのまま諦めようとしていた隆だったが、いざ彼女が男子生徒に告白されているところを見掛けると身体が勝手に動いてしまったのだった。
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めちゃくちゃ最高です!
行為が上手い理由からのオチに悶えた。堅物キャラまた書いてください
もち さん 2023年4月24日