禁欲の果て (Page 3)
「そうかな」
いつもセックスになるとあけすけに乱れる凛花だが、事が始まる前はこういう話題に恥じらう時もある。
3年経ってもそういう姿を見せてくれることが、武は嬉しく、また興奮もするのだ。
「エロいよ、駅で会った時から俺もうめちゃくちゃ興奮してるから」
「もぉー…」
諌めるような口調だが、凛花の声は甘い。
こういう会話をしながら互いの興奮を高めているので、これはほとんど前戯のようなものだと武は思った。
武の部屋は広めのワンルームで、会社が用意した築浅のアパートだ。
3階の角部屋で隣は空室のため、セックス時の音に関して2人ともあまり気にしたことはない。
しかし玄関に入るなり灯りも付けずにその場で行為を始めるとなれば事情が変わる。
「んんっ…ふ、ぁ…っ」
普段より抑えめの声を漏らした凛花の口内を、しかし武は容赦なく犯した。
閉じたドアに凛花の体を追い込むように抱いて、くちゅくちゅと音を立てながら激しいキスをする。
部屋に着く前から、とうに勃起していたペニスを凛花の下腹部に押し付け、武は両手で凛花の尻をまさぐった。
「ちょ、あ…っ、んんっ」
凛花が声を抑えたのは、玄関先で何故か普段より音が大きく響いているような気がしたからだ。
あるいは場所が玄関だからではなく、自分たちの興奮が普段の数倍にも高まっているから音に敏感になっているのかもしれなかったが、凛花にはその判別がつかなかった。
「ん、はぁ…あ、待って、ちょっと」
自分も相当堪えていたためすっかり甘くとろけた声で、それでも一応部屋の中、できればベッドへ誘導したいと目論む凛花だったが、ギラついた武の目はそれを許さない。
唇が離れた隙に言葉を紡ごうとする凛花のミニスカートを、武は一気にたくし上げた。
「だめ、待てない、もう待ちすぎた」
耳元で低く囁く武の声も切羽詰まっている。
発情した武のこの声が、凛花は特別好きだった。
この声で請われると、腰が砕けたように力が入らなくなり、なんでも許してしまうのを凛花は自分でよくわかっている。
「あ、だめ…そんな」
真っ暗な中で武はいつもより少し荒く、凛花の体を撫で回した。
そして凛花の身体をくるりと回し、後ろから覆い被さるようにして凛花の手を下駄箱につかせる。
尻を突き出すような格好になった凛花の姿が、暗闇に慣れてきた目にうっすら見える。
武はパンツと下着を膝の辺りまで下ろしてペニスを露出させ、凛花のショーツを下ろすと後ろから凛花の腰に抱きついた。
「あぁんっ…や、恥ずかしいって…」
普段と違う場所、普段と違うシチュエーション、そして普段の何倍も興奮した自分と恋人。
その全てが凛花をいつもと違う感覚に誘っていた。
武は息を荒くしながら、凛花の首筋にちゅうっと吸い付いた。
遠恋。
まるさん作、推し。
遠恋あるある。
悩めるケミん さん 2022年9月3日