狂笑 (Page 3)
「そうです。中井さんに貸した分を稼いで補填するんです。それで月末に間に合わせれば、返済を待てますからね」
ぱっと有理紗の顔が輝く。
目の前に出された餌に飛びつこうとしている。
あとは待つだけだ。
じっと待っている灰島の前で有理紗は小さく頷く。
それから二日後、灰島は有理紗と駅で待ち合わせていた。
普段着で来るようにと指示された通り、有理紗は地味ないつも通りに服装で現れた。一方の灰島はアウトドア活動に向いた服装である。
「とりあえず、目的地まで車で行きます。目的地は――」
有理紗を車に案内する間に、灰島はスケジュールを説明する。
二時間ほど移動し、人里離れた山林に到着した。この山林は灰島が持ち主と交渉し、アウトドアギアの試用や撮影などを行うために使用許可を得ている。そのため邪魔は入らない。
「じゃあ、着替えてください」
「えっ」
「幾つかメーカーから試作品のモニターを頼まれてるんですよ。で、それが女性用なんです」
「外から見えませんか?」
「カーテンを引くんで大丈夫です。時間もったいないんで」
腕時計に視線を落とし、有理紗を急かす。
観念した様子で有理紗は後部座席へと移動する。そこにはケースに入れられた服が合った。
「じゃあ、まずこれから」
灰島はショーツとブラジャーを手渡した。
差し出された有理紗は顔を引き攣らせて硬直している。
構わず灰島はバインダーに停めたチェックリストを見せた。
「締め付け具合とか、肌触りとか、色々とチェックする項目があるんで、その都度聞きますね」
「……」
「早くしてください。肌着だけでも六社ありますから」
おずおずと服を抜ぐ有理紗を尻目に灰島は、肌着以外の服も準備を進める。その様子を見て、有理紗はこっそりと溜息を吐いていた。
チェックシートを持ち、灰島はじっと有理紗を見つめる。
シャツを脱ぎ、下着が露わになった。思った通り肉付きの薄い体だ。だが、きっちりとしまった体型でだぶだふの贅肉が乗っていない。
スカートを脱ぎ、自前の下着姿になった所で有理紗の手が止まる。しかし、灰島の急かすように視線に気づき、のろのろとブラジャーとショーツを脱いだ。そっと衣服で下着を隠し、彼女は最初に差し出されたアウトドア用の下着を身に付ける。
「どうです、ゴムの感じとか」
そう言いながら灰島はショーツの縁へと指を突っ込む。指先で下腹部をなぞる。
「このメーカーは速乾性とかだけじゃなくて、ゴムの感じとかもこだわってるらしいんですけど」
指を抜き、今度は乳房をブラジャー越しに軽く持ち上げた。
「カップのホールド感は? 背中と肩の締め付けは?」
矢継ぎ早に質問を出して考える隙を与えない。
そして、ブラジャーの隙間から手を差し込み、指の腹で転がした。
「んぅっ」
小さく声を上げ、有理紗が肩を震わせた。
「痛いですか? ブラジャーの中で擦れる感じがある?」
チェックシートへ視線を落とし、灰島が訊ねる。
「い、いいえ、大丈夫です」
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