素子ちゃんは皆のアイドル
豊島素子ちゃんはかわいいのに自己評価が低い、ちょっとめんどくさい女の子。だけど、俺たち渡辺町商店街のアイドルだった。でもそんな素子ちゃんにとうとう男の影が。こうなったら仕方がない。渡辺商店街の男衆の全力を挙げて、素子ちゃんを俺たちだけのアイドル(性奴隷)にするしかない。俺たちは作戦を練ると素子ちゃんを拉致ってしまった。さあ、これからパーティーの始まりだ。
豊島素子ちゃん。
彼女は俺たち渡辺町商店街のアイドルだった。
自分ではかわいくないと言い張る自己評価の低い女の子だが、決してそんなことはなかった。
そもそも顔が良い上に愛嬌がある。
ツリ目は確かにきつい印象を与えるが、それだって素直になれない女の子という、とってもいいアクセントになっている。
赤いフワフワの髪をたっぷり流したツインテールは、モフモフと触りたくてたまらない。
胸は薄目かもしれないけれど、スタイルのバランスは悪くなく、クリスマスの時にサンタコスをした時などは、柔らかそうでいかにも女の子という感じだった。
それでも素子ちゃんの口癖は、
「私なんて脇役なんだから、そんなに褒めないでよ」
だった。
だから、彼女の魅力に気が付いているのは、商店街の俺たちだけ。
彼女は俺たちだけのアイドルのはずだった。
その日までは。
ちょっと離れた大学に通っている素子ちゃんが商店街に顔を出すのは、休日しかなかった。
本当は出なくてもいいはずなのに、わざわざ戻ってきて、色々な店の手伝いをしてくれる孝行娘だった。
そんな彼女が久しぶりに商店街に顔を出したとき、その横には見知らぬ男がいた。
それを見た年寄りたちは、ついに彼氏かいと色めきだったが、俺たちの内心は穏やかではなかった。
「素子ちゃん……、その人はどちら様?」
町の衆を代表して、幼馴染で一番仲がいいと思われている町長の息子の俺が尋ねた。
「あー、えっと……、大学の先輩、そう、そうお世話になってる先輩だよ」
「こんにちは、馬場と言います。はじめまして。豊島さんとは、研究室が同じで、今日は生まれ育った商店街を紹介してくれるということでやってきました」
「もー先輩固すぎですって、もっと気を抜いていいんですって、気のいい奴らなんですから」
そういった素子ちゃんの表情は恋する乙女の顔だった。
ずっと見てきた俺だからこそわかる。
そして、相手の男、馬場とか言ったか、こいつはよくわからなかった。
悪い人間ではなさそうだが、素子ちゃんの好意に気づいているかのかいないのか。
こいつ自身が何を考えているか、全くわからない。
だからといって、これをそのまま放っておいていいはずはなかった。
次に素子ちゃんが帰ってくるときは、間違いなくカップル誕生となっているだろう。
あんなにかわいい素子ちゃんからアタックされて落ちない男がいるはずがない。
素子ちゃんたちが、商店街の散策に出てしまった後、俺たち商店街の若い男衆は会合を開いた。
そう、色々と願望はあるかもしれないが、それをすべて捨てて、素子ちゃんを俺たちだけのアイドルにするという計画を企てたのだ。
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