涙の味は意外と甘い (Page 3)
「今日は騎乗位をしないでおこうと思うんだ」
ホテルに入って湊は告げた。
「そうなの?」
「ああ。だから今日は服を脱がせるのも俺にやらせて」
一枚ずつ服を脱がせていく。衣擦れの音がやけに響く。
瑠璃は恥ずかしそうにしながらも微笑みを絶やさなかった。
胸を揉みながら突起を舐める。時間をかけて、じっくり舐めた乳房が唾液で濡れ光る。
「ううん……ああ……」
ホテルのベッドに横たわった瑠璃の足の間に顔を埋める。
「やあっ……」
くすんだ茶色のひだを舌で押し広げるように舐めていく。小さな肉芽には触れずに舌全体を使って愛撫すると、瑠璃のふとももが細かく痙攣した。
「あ……ああ……」
甘酸っぱい愛液がシーツに滴っていく。もどかしいのだろう、腰が揺らめいている。
「あうっくうう……!」
瑠璃の体が震えた。くたりと力の抜けた体から舌を離し、切っ先を押し当てる。
「ふううっ……」
根本まで埋めると、瑠璃が腰に足を絡めてきた。なじむまで待つつもりだったが、欲しがる仕草に理性が切れた。
「あうっあんっ」
腰を押し付けるようにグッグッと動かす。
瑠璃の瞳に自分の顔が映っているのを見て取り、湊は心の中で叫んだ。
俺を見てくれ。
こぼれる涙を直接舐め取り、唇を重ねる。瑠璃の中がいつもよりうねって締めつけてくる。引きずりこまれそうになるのを突く事でこらえて高めていく。
「うあっあああっ!」
瑠璃がしがみついてきた。抱き返して、さらに突く。
「ああっも、もう……っ」
「ああ、俺も……!」
瑠璃が痙攣し、直後に湊も果てた。
騎乗位もいいが、こういうのもいいなと湊はぼんやり思った。
瑠璃の頬を撫でながら、湊は満ち足りた幸福な気持ちでうとうとしていた。これだけ深く感じ合ったのだから、きっと大丈夫だ。
「ねえ……」
「ん?」
「今週末、海に行かない?」
その一言で、眠気が吹き飛んだ。
「駄目かしら?」
甘えた口調に、湊は思い知った。
夫は、こんな風に慈しむように抱く人だったんだ。
知りたくなかった。だけど、知ってしまったからにはもう、知らなかった頃には戻れない。
「その記憶は別人で上書きすべきじゃない」
頬から手を離して湊は起き上がった。
「何を言って……?」
瑠璃も起き上がって胸をシーツで隠した。
「俺は、君が愛している人じゃない。これからも旦那さんを愛してあげてほしい」
瑠璃がこぼれ落ちそうなほど大きく目を見開いた。ボロボロと大粒の涙がこぼれる。湊は細い肩をそっと抱き寄せ、長い間そのままでいた。
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