人魚姫は泡になるか?

・作

幼馴染みの毅(たもつ)と里緒(りお)。別々の高校に進学したことで疎遠になっていた二人だったが、ある夏の日に学校のプールに忍び込むことにする。夜のプールで二人は離れていた間に自覚した想いを触れ合わせるのだった……。

 夏の羽虫が集まる街灯の光を避け、二人は暗い道を歩いていた。
 普段歩いている通学路ではなく、人通りの絶えた細い道を選んでいる。
 
 スニーカーが地面を擦る音にさえ驚いた。そして、その度にお互いの存在を確認するように顔を見合わせる。少し回り道をする程度なのに、深夜だというだけで心臓が跳ねまわった。
 
 そんなふうにして二人が辿り着いたのは、学校だ。
 夏休みでも人が絶えることがない建物。部活や仕事と、それぞれが様々な理由で日中に訪れているのだ。
 だが、今は深夜。
 
 沢山の高校生が一日の大半を過ごす校舎は、静かに暗闇を湛えていた。
 
「毅(たもつ)」

 名前を小さな声で呼ばれ、毅は校舎から目を離す。
 
「こっち」

 手招きをするのはすらりとした長身の少女だ。Tシャツや七分丈のカーゴパンツの裾から覗く手足は強さを感じさせるしなやかさがある。
 
 毅は少女に先導され、校舎の脇にある道へと足を進めた。道は所々ひび割れたコンクリで覆われ、夏草が両側から手を伸ばしている。
 
 そこを進んでいくと小さな、これまたコンクリート造りの小さな建物が姿を現す。その背後からは微かに水の気配が漂っていた。
 
「そういや、水泳部の部室ってこれ?」
「ないよ」

 少女は毅の質問に短く答えると、コンクリート造りの建物の脇へとさらに歩を進めた。毅もそれを追っていく。
 
「毅の学校の水泳部は?」
「うちはプールがない」

「マジ? 水泳の授業どうすんの?」
「そもそも水泳がないんだよな」

「うわ、アタシこっちの学校にしてよかったぁ」
「里緒(りお)は、やたらと泳ぐの好きだよな」

「泳ぐのって最高じゃん」
「そのわりにはもう引退したんだろ、部活」

「タイムタイムうるせーの。アタシは自由に泳ぎたいのに」
「期待されてんだろ」

 建物脇の小道を抜けると、プールの脇に出た。
 ブールは年季が入った様子でフェンスは低く、簡単に侵入できそうな雰囲気である。
 
「なあ、ほんとに大丈夫なのかよ」
「なにビビってんの? 大丈夫だって。うちの学校貧乏で警備員とかいないし、更衣室の鍵も直してくんないんだから」

 県内でも伝統ある学校も毅の幼馴染みにかかれば形無しだ。
 里緒は軽い身のこなしでフェンスをよじ登って、天辺を跨いで毅に向かって手を差し出した。
 
「早く」

公開日:

感想・レビュー

コメントはまだありません。最初のコメントを書いてみませんか?

レビューを書く

カテゴリー

月間ランキング

  1. 会員限定の出会い

    まる21097Views

  2. 電車凌辱快楽責め

    益田冬嗣20578Views

  3. 義父の手管

    まる19417Views

  4. 保険外交員の淫悦契約

    益田冬嗣15109Views

  5. 恥辱の産婦人科―箱入りお嬢様の診察記録― 

    あまがえる14796Views

  6. 借金返済のために性奴隷になる女子校生♡調教に染められる子宮♡

    よしのふみ10079Views

  7. 5日目の夜

    まる6456Views

  8. 出戻りねえちゃん

    まる5990Views

  9. 夫のミスは子宮で償います ~嫌いな上司に寝盗られた貞淑妻~

    奥住卯月5466Views

  10. 籠の鳥は、いつ出やる

    益田冬嗣4921Views

最近のコメント

人気のタグ

中出し 乳首責め 巨乳 フェラチオ 指挿れ 女性優位 クリ責め クンニ 調教 レイプ 潮吹き 騎乗位 処女 言いなり 口内射精 無理やり 羞恥 言葉責め 処女喪失 オナニー ラブホテル 不倫 教師と生徒 拘束 女性視点 イラマチオ 玩具責め 淫乱 熟女 積極的

すべてのタグを見る