人魚姫は泡になるか? (Page 4)

「する? キス」
「な、なんで」

「昔はしてたよ」
「今は、もうしないだろ」

「アタシはいいよ。そのために毅のこと、誘ったし」

 ぎょっとして毅は身を引いてしまう。その様子を見て、少しだけ里緒は傷ついた顔をする。
 
「あ、いや、その、違う」
「何が?」

「嫌だとか、そんなじゃない」

 急展開におどおどしている毅にするりと里緒が近づいた。水面が波立ってぶつかり、次に体温を感じる。
 背後からではなく、今度は真正面から里緒は毅を抱き止めた。微かな水の冷たさと、里緒の水着の感触、そして体温が混ざり合って初めて体験する不思議な感覚を毅に与えている。
 
「友達だと、思ってた」

 おずおずと里緒の背中に手を回し、毅は告げた。
 
「アタシも」
「こういうときってやっぱ、男が告白するもん?」

「えぇっと、アタシも初めてだから、ちょっと分かんないかも」
「そう、か」

 プールの端っこで二人は黙って抱き合った。
 
 しかし、毅も健康な男子であり、次第に抱き合っているという状況に慣れてくると、今度は里緒の肉感を意識してしまう。脂肪が薄く締まった感触だ。だが、張り付くような肌の感触やむっちりとした太腿が、ちらちらと毅の股間に触れるものだから堪らなくなってきてしまう。
 
「あっ」

 ついに里緒が声を上げた。毅の勃起した性器の存在に気付いたのである。
 生理的な反応だから仕方ない、とそんなような誤魔化しを毅が口にする前に、里緒は彼の口を自分の唇で塞いだ。薄い里緒の唇が小鳥のように毅の口を啄む。
 
「んっ、はぁっ、んむん」

 心行くまで互いを啄み、唇が離れた。
 
「告白だけじゃなくてキスも初めてだよ、毅は?」
「僕も、初めてだけど」

「じゃあ、こっちは」
「うわっ」

 水着越しに里緒に性器を扱かれ、毅は思わず声を上げてしまった。自分の手ではなく、他人によって初めてもたらされた性感に思わず体が反応してしまう。男根はどんどん膨らみ、水着の中が窮屈に感じられる。
 
「なあ、僕も、触りたい」
「うん。……いいよ」

 幼馴染みの膨らみに触れる。
 どくん、と心臓が高鳴る音が毅には聞こえた。
 
 ただ、それが自分の心臓なのか、里緒の心臓なのか分からなかったが。
 里緒の胸をゆっくりと力を入れ過ぎないよう揉む。水着の下で彼女の乳房がやわやわと形を変えているのが掌から伝わる。
 
 ゆっくりと乳房の根元から先端まで掌全体を使い、揉みしだくと呼応して里緒の吐息が熱くなった。
 

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