母子再会と10年前の落とし前 / オンナ絡みの揉め事解決屋 2 (Page 2)

話しは2週間前に遡る。
その事案とは、旧知の不動産屋が持ってきた話しだった。彼は顔が広く、今の俊一の住まいである元ネカフェ跡の店舗も彼の頼みで「占有防止」で住んでやっていた。

不動産屋は、「離婚問題がこじれたので、妻側の弁護士事務所を手伝ってくれ」と言ってきたのである。
それで横にいる、田所法律事務所の名刺を差し出した弁護士(田所本人だった)も同席させていたのだ。

田所にはあらかじめ、俊一がどういった類いの調査屋・探偵なのかは説明済みのようだ。

離婚の原因は、表向きはよくある「夫の浮気」だった。これは男女の問題なので、どうにもならない。

しかし、その実は夫側も妻側も地方では実家が名士クラスの資産家で、双方の親としては跡取りに考えている“孫”を手放したくないというのが問題として浮上してきたというのだ。

洋子を嫁に出した形の木次家も、長男夫婦が子宝に恵まれていないので「それならば」と、名乗りでたという次第だ。

つまり、夫婦の愛憎劇というよりも、2人の子供の親権のみを争っていたのだ。

実際に洋子の夫・本並 聡は秘書課に淳子という新入社員が新卒で入ってきてからの“男”だ。新人歓迎会の夜に貫いて以来10年間、愛人として金とセックスをつぎ込んでいる。

無理矢理に連れ込んだ安ホテルで「まだ一人しか知らないのに、いきなり襲ってきてどういうつもりですか?」と、抵抗したものの「離婚話しが進んでいる。真剣に考えるから」と言いくるめられて、まだ半濡れの若マンに遊び慣れたヤリチンをブチ込まれたのだった。

ピストンされているうちに「あっ、あっ、あいっっっ」と感じ出した淳子は、本並にしがみつきながら腰を振りだして「あ~っ、中だけはダメですぅ。不倫の子はダメです~っ」と叫びながら、最後は口内に発射してもらった。

淳子は、ゴホゴホとむせながらも強制的に飲まされた。
「どうだ、美味いだろう?」。

もちろん、社内だけではなくナイトクラブのホステスにも愛人がいて、洋子の熟マンを抱いているヒマがないのが実情だったのだ。

一方、妻の洋子は世間体から浮気もできずに成熟した体を悶々とさせていた。

普通のケースなら、ここで双方の弁護士同士がやりあって「話し合い」で解決するなり、泥沼の離婚調停に突入するのがパターン。それが、業を煮やした夫の親が部下に「孫たちを儂の家に連れて来て、ここから学校に通わせろ!」と命じて、雲行きが怪しくなってきたらしい。

もとをただせば、気の荒い建築屋たちを力と金でまとめてきただけあって、祖父であり現役の社長の迫力は確かにあるようだった。

それに対抗するために、顔の広い不動産屋が俊一を推薦したのだった。

不動産屋はぬけぬけと「一応は裏社会では名が売れた “自分で何とかする力”があるという事です」とも推しの理由も述べていた。

それで俊一は、その案件を受けたのだった。
「切り捨て上等」と「オレ流」の気分で受けただけだ。

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