母子再会と10年前の落とし前 / オンナ絡みの揉め事解決屋 2 (Page 5)

前日の「仕込み」

そうして細かい打ち合せが終わり、ミーティングは散会へ。爺様とボディガードの佐久間が乗ったエレベータを見送ったあとは、それぞれが思い思いに帰る事となった。
俊一は里美と帰ろうとエレベータを待っていると、スィートルームの控えの間にいた爺様の美人秘書がやってきて、「会長からの伝言です」と言ってメモを残して去って行ったのである。

その内容とは、

『部屋の料金は明日の昼まで支払っておいた。好きなように使え。なお、ルームサービスは「常識の範囲で」な。木次作蔵』

としたためてあった。

俊一は別段、どちらでも良かったが気分を変えるために爺様の行為に甘える事にした。

そのメモを横目で見ていた里美は「ちょっと待って!悪さできないように、1回ヌいとくから」と無人の部屋に俊一の手を引いて戻っていった。

「マンチョは旦那様のものだから挿入はできないけど、また、手と口で抜いてあげる」

俊一はドアに「Do not disturb」の札をかけて、全裸になった。発射したあとに、シャワーを浴びるつもりだったからだ。
すると、里美も同様に一糸まとわぬ姿となって背伸びをしてキスをしてから、その唇を徐々に下の位置へと下げていったのである。

「あん、きょうも大きくなってる。俊さんのチンチン、ふふぉい(太い)はは(から)だいふひよ(大好きよ)」

言葉の後半部分は、もう咥え出したので発音がおかしくなっていた。毎回、こんな風俗店みたいなプレイをシているのは、「挿入したら、浮気になっちゃうでしょ(怒)」という、里美のポリシーのためだった(笑笑)。

“入れるか、入れないか”が、里美の尺度。だから俊一も、その気持ちを尊重して無理に押し倒したりはシなかったのだ。

こうしてチン棒を波打たせて、俊一はドクドクと精液を発射した。それから、一緒にシャワーを浴びて和んだのちに、里美は、

「じゃぁ、買い物があるからマタねぇ~」と言って、帰っていったのである。

里美のおかげで、室井に対して高ぶりすぎていた感情が沈められていたようだった。

 

そして、翌日。
田舎駅前で室井ともう一人のボディガード・山本が待つロータリーに、下り電車から降り立った洋子の娘が現れた。乗った電車をメールで知らせているのだろう。

その娘を待つ黒いレクサスに、そーっと近づく一人の男がいた。言わずと知れた俊一である。彼は先刻、近くのホームセンターで買ったモンキーレンチを思いっ切りレクサスのリアガラスに投げつけた。麻紐で結んでおいたので、そのレンチを自分に戻してから逃走に移る。

「何してんだ、追え!」

山本に負わせて、室井は反対方向に走り出す。挟み撃ちにしようという魂胆らしい。その光景を呆気にとられて見ていた娘に里美が近づいて、1通の封書を渡した。

「洋子さんからのメッセージ。見つからないように読んで!」

と小声で伝えて、路駐してあった自分のユーノス・ロードスターに乗り込んで俊一を追った。俊一は、室井も走り出したのを確認すると振り返って「鬼ごっこはここまでだ」と宣告して、低い姿勢から右脚で相手の両スネを払うように蹴りを入れて突んのめさせた。

そうやって転ばせておいて、正拳を右・左・右と水月へ3連打してやった。あとはどうなったかは分からないが、明日の本番には使い物にはならないはずである。
そう考えながら、俊一は里美のロードスターに飛び乗って、田舎駅から消えたのだった。

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