王子の裏の顔 (Page 3)
「ねえ王子、栞知ってる?」
雄太がシャワーを終えて部屋に戻ると、真理が尋ねた。
まだ裸で、ベッドに横になっている。
「しおり?」
「そう、内藤栞」
「秘書課の内藤さんですか?」
「そうそうその栞がさ、あ、私たち同期なんだけど」
「はい」
「王子とエッチしてみたいんだって」
「えっ!?」
驚きのあまり、雄太は口をあんぐりと開けて固まった。
秘書課の内藤栞といえば、社内でその名を知らぬ者はいない。圧倒的な美貌と誠実な仕事ぶりを買われて入社5年目で重役秘書を務めている栞は、男女を問わず全社員の憧れの的だ。
同じ会社にいても、言葉を交わす機会すら自分にはないだろうと雄太は思っていた。
「なんかさ、栞には婚約間近の彼氏がいるんだけど、セックスあんまり良くないらしくて」
「え、ちょ」
「そんなもんなのかなあとか言うから、いやセックス満足できないのに結婚とかあり得ないでしょって言って」
「はあ」
「セックスでイッたことないとか言われたらさ、友達として助けてあげたくなるじゃん?それで王子の話したんだけど」
「どうしてそうなるんですか!」
「最近私が気に入ってるおちんちんだからじゃん。掘り出し物だったし悪い子じゃないよって言ったら栞も興味あるって話になって」
「なっ…」
「え、ダメだった?」
「だめ…っていうか…おかしいでしょ、その話」
「王子さぁ、だってモノが良いだけじゃなくて回数もいけるし持久力もあるじゃん、いわゆる絶倫?だから大抵の女の人は満足させられるんじゃないかと思ってさ」
「照れがなさすぎますよ春日さん…」
「王子がどうしても無理っていうんだったら仕方ないけど」
「…」
雄太がぐっと言葉を失ったその瞬間。
コンコン、とホテルの部屋のドアをノックする音がした。
「あ、来た」
「は?」
「栞だよ」
いそいそとベッドを降りた真理は、バスローブを羽織ってドアの方に向かった。
「ちょっ」
シャワー後で腰にタオルを巻いただけの状態だった雄太も慌ててバスローブを羽織る。
「どうぞー」
真理に迎え入れられ、内藤栞が室内に入ってきた。
普段使わないような広めのシティホテルの部屋を今日指定したのは、このように栞を呼ぶためだったのかと雄太は思った。
読みやすい!男性が不慣れでも優しくリードしてくれる姿がとても好きです
リリー さん 2022年12月9日