女王様と犬 (Page 6)
「ねえ、腰が立たないのですけれど」
「申し訳ございません…」
隼人は私の枕元に正座をして、分かりやすく項垂れました。
「…まあ、誕生日だから、特別に許して差し上げます。お仕置きは明日」
ああ疲れた、とふかふかの枕に顔を埋めると、隼人がまだ何か言いたげにこちらを見ています。
「何ですの?」
「えっ?!あの、いえ、何でも…」
「…」
じっと顔を睨んでいると、隼人はおずおず口を開きました。
「最後に…お嬢様と、キスしたいです…」
「はぁ…?…もう、ほんとにしょうがない犬ですこと。ほら」
私は隼人の首を抱き寄せ、唇に触れる振りをして、頬に軽く口付けました。
「あ」
「あら、唇は駄目でしてよ?おあずけ」
「…はい…」
こんなことでしょんぼりする隼人の顔が面白くて、思わず笑ってしまいます。
「お嬢様…!」
「ふふっ、ごめんなさい…。良い子にしてたら、そのうちまた恋人ごっこをしてあげますわ」
(了)
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