トラックの行く先は (Page 3)

「助手席も少しだけど倒していいよ」

「あ、いえ、はい…」

目線を逸らせば意識していることを告白するようなものだし、しかし彼女の身体を凝視するのも失礼になるしで、大輔は目を泳がせた。

「それとも、君もこっちで一緒に寝る?」

「えっ」

大輔が驚いて恵美子の顔を見ると、恵美子はにやりと笑っていた。
メイクは派手だが、奥の幼なげな顔立ちが笑顔だと際立って見える。

「ふふ、冗談だよ…おばちゃんセクハラだったね、ごめんごめん」

「いや、おばちゃんって…そんなこと、あの…」

謝っているが、表情は笑ったままの恵美子は、しどろもどろになる大輔の様子を面白がっているようにも、本気で誘っているようにも感じられた。

「全然…あの、お姉さんです…正直めちゃくちゃエッチなお姉さんって感じです!」

大輔は、いちかばちか思い切って言ってみた。
ワンチャンいけそうな気もしたし、冗談でも流せる程度の言い方で逃げたが、先に性的な雰囲気を出したのは相手の方なので、いけなくても本気で嫌がられはしないだろうと踏んだ。

「ははははっ」

恵美子は吹き出した。

「エッチなお姉さんか…君みたいな若い子から言われると嬉しいな」

「お姉さんの身体、隅から隅までめちゃくちゃエロいです!俺ずっとムラムラしてたから、冗談でもあんな風に誘われたら…やばいです」

彼女が怒らなかったことに勢いづいて、大輔は捲し立てた。

「…恵美子」

「え?」

「名前、恵美子」

「あ、はい…」

「お姉さんじゃなくて、恵美子って呼んで」

恵美子の声は、明確に湿度を含んでいた。

「えみこさん」

「いいね…最中に名前呼ばれるの好きなんだ、私」

大輔はごくりと生唾を飲んだ。

「呼んでくれる?いっぱい」

言葉が出ず、無言でこくこくと頷いた大輔に手を伸ばし、恵美子はその身体を導くように引き寄せた。
潤んだ目は欲情しきっている。
大輔もすっかり発情した自分の欲望を隠すことなく、身を乗り出してベッドスペースに移動して、恵美子の唇にしゃぶりついた。

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