夕暮れの公園で女性上位の快楽を知る (Page 2)
僕は思考停止していた。
一瞬のことで、気づいたら僕はされるがまま彼女を見上げ、いつもとは少し違う味のビールを味わう間も無く、喉へ流し込んでいた。
注ぎ込まれるビールの量が少なくなると、彼女の唾液が少しずつ感じ取れるようになった。
それは温かくて、少し甘かった。
口の中の液体を全て注ぎ終えると、彼女は唇を離し、僕の目を見つめた。
「…美味しいですか?」
「……はい」
僕は殆ど無意識に答えていた。
見つめる彼女の瞳は美しく、僕は目を離すことが出来なかった。
「また来週この時間に来ます、いてください」
彼女はそう告げると、バッグを持ち、足早に公園から出て行ってしまった。
僕は今起きた非常事態を整理しようと、持っていた缶ビールを開け、一口飲んだ。
いつもの味。美味しい…でも何となく味気ないような、そんな気がした。
そして、今この瞬間では整理しきれないことを察し、そのまま時間に身体を委ねた。
一息つき、持っていた缶ビールに目をやって気づいたが、僕のペニスはスウェットの上からでもわかるぐらい勃起していた。
誰に見られているわけでも無いがすごく恥ずかしくなり、膨らみがわからないように誤魔化した。
―― 一週間後
僕は公園にいた。
先週と同じ曜日、同じ時間。
ビール二缶の他に、アルコール度数の低い甘いカクテルも持ってきた。
何を飲むか、そもそも今日も飲むのかわからないが、とりあえず持ってきた。
「…本当にいる」
女性の声がして振り返る。
先週見た彼女が立っていた。
しかし今日はちゃんと化粧をしているせいか、先週見たより大人っぽい印象だった。
「あ、はい…約束したので」
僕が答えるのを待たずに、彼女はベンチの反対側に座った。
「私が勝手に言っただけじゃないですか、真面目なんですね」
そう言うと、彼女は少し笑った。
八重歯が可愛い笑顔だった。
僕は彼女が来てから、おそらくずっと彼女を見つめていたと思う。
先週は意識できなかったが、とても美しく、魅力的な女性だった。
正直言って、すごくタイプだった。
「先週はありがとうございました、もう大丈夫なんで」
彼女が口を開いた。
「あ、よかったです、それは、あの心配してたので…」
「心配してくれていたんですか?それで今日も来てくれた…?」
「はい!」
僕が勢いよく答えると、彼女は不敵に微笑んだ。
「…先週のビールが、美味しかったからじゃないですか?」
僕の心臓が強く鼓動した。
心配だったのは嘘じゃない、嘘じゃないけど、もう一度彼女に会いたい、そんな僕の男としての希望が見透かされたような気がして、とても焦った。
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