幽霊の弱点はエロいこと!? (Page 9)
「あっあっ、それ、いいよ、気持ちいい」
乱暴に膣の入り口から最奥まで男根を突き立てられ、綾瀬は快楽に悶えてしまう。
性的な快感に乱れる彼女の痴態に、隼人はさらに腰の動きを速めた。肉のぶつかり合う音と卑猥な水音、ベッドの軋み、喘ぎ声、お互いの荒くなる呼吸音。そういった性交に関するあらゆる物音も隼人をより興奮させた。
発情した女の匂いも脳髄を痺れさせる。
だが、一番彼を昂らせ、獣のように腰を振らせるのは、綾瀬の秘所だ。肉襞が絡みつき、男根を絞り上げている。その強さもきつ過ぎず、弱すぎない。名器ってこういうことを言うのか、と隼人は常々思っていた。
気づけばどちらからともなく、隼人と綾瀬は手を握り合っている。指を絡ませ、お互いを逃がさぬように快楽の一滴も取り零さないようにと。
「もう出る、出る」
「いいよ、一杯出して」
ぎゅうと膣が収縮し、陰茎も鈴口もまとめて絞り上げる。蠢く肉壁の誘惑に乗り、隼人はたっぷりと射精した。
「んあっ」
膣から男根を引き抜くと、コンドームの先端に白濁液が溜まっている。
「うああ、すげえ、気持ち良かった」
「わたしも」
二人は狭苦しいシングルベッドで体を絡ませたまま、目を閉じる。
すっかり忘れてしまっているが、いつ間にやら窓を叩く音も、足音も止まっていた。
恐怖による緊張と性交による疲労で、隼人と綾瀬はすぐに眠りに落ちる。二人の寝息が混ざり合い1つのもののように室内に広がっていた。
一見すると幸せな寝顔を晒している二人だったが、その枕元に何人かの女性が立っている。全員手術着のようなものを身に纏い、恨めしそうな顔をして、隼人を見下ろしていた。
夢枕に立つということなのだろうが、立たれた当の隼人は、何らかのメッセージを受け取っている風ではない。余程業腹だったのか、女性の一人が隼人の頭を踏み付けた。何度も。それに他の女性も倣う。隼人の頭へとストンピングの嵐が襲いかかる。
だが、隼人が目覚める気配は一向にない。
それを見ていた女性の一人が肩を竦めて姿を消す。一分も立たないうちに隼人の枕元に立っていた女性達は何の痕跡も残さず、消え去ってしまった。
隼人がむくりと体を起こした。
「一周回って、もう怖くないな……」
しかし、と彼は腕組みをして続ける。
「パンツ、誰も履いてなかったな」
そんなアホみたいなことを言って、隼人は再び横になる。
そして、奇妙な勝利感と心地良い疲労に包まれ、隼人は今度こそ眠りにつくのだった。
スケベ心は幽霊にも負けない。
(了)
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