隣人の転校生は命令で輝く真夜中の支配者
転校してきた女の子は常に無表情で冷たそう。誰とも仲良くせず隣人の僕と目すら合わせない。でも僕は君が気になるんだ…。そんなある日、いつも閉まっているお隣の部屋のカーテンが開いていた…何の気なしに覗いたのが全ての始まりだった…。
この世界で、僕たちだけが起きている。
月明かりだけが頼りの、この部屋で。
こんなこと、僕は死ぬまで忘れられないと思う。
僕の家の横には、同い年の女の子が住んでいる。
彼女は一学期の途中で引っ越してきた。
親たちの話しによると、どうやら他県から越してきたらしい。
たまに顔を合わせる事もあるが、挨拶を返されたこともなく、目すら合わない。
手足が長く背も高い、常に無表情の彼女は冷たく、近寄り難かった。
同じ学校に通っているが、相変わらずのオーラを放ち、友達は出来ていないようだった。
いや、彼女から作りたがっていない、そんな表現が正しいように思う。
「佐々木さんて、可愛くない?」
僕は一度、友人達に彼女の話題を出したことがある。
確かに冷たそうではあるが、僕には美しく、そして可愛く映っていた。
しかし、友人達から同意は得られなかった。
みんな口を揃えて“怖そう”、“何考えてるかわからない”と言った。
僕はそれ以上反論はしなかった。
彼女の良さをわかっているのが僕だけであることが、少し嬉しかったからかもしれない。
彼女が越してきてから約半年ほど経った頃か。
季節は肌寒くなってきた秋の終わりだった。
僕の部屋の出窓から見えるお隣の部屋の窓は、いつもカーテンが閉まっていた。
でも僕は何となく、彼女の部屋なんじゃないか、そう思っていた。
一階の部屋で遅くまで過ごしていた僕は、そろそろ寝ようと自分の部屋に戻った。
部屋の電気をつけないまま、開けっぱなしのカーテンを閉めようと出窓に近づいた時だった。
不意に目をやった向かいの部屋の窓、普段は閉まっていたカーテンが空いていた。
珍しい光景に、閉めかけていたカーテンの手が止まる。
向かいの部屋も暗かった。
勉強机…? ベッド…?
目が慣れてきたのか段々と判断できる程度に部屋の中が見えるようになってきた。
その瞬間、僕の心臓が一つ、強く打ち付けた。
恐らくベッドの上、裸の女性が壁に背を持たれているのが見えた。
僕に対して横向きで、腰から太もも、足にかけて月明かりが照らしていた。
僕は持っていたカーテンに身を隠し、目を凝らした。
暗がりにいるが、髪が長いことは見て取れた。
“裸で…何をしているんだろう…”
僕は静まらない鼓動を感じながら、観察を続けた。
女性の照らされた足はたまにモジモジと動き、壁にもたれかけた上半身から伸びた手は、足の間に置かれているように見えた。
天野さんの作品いくつか読みました。これが一番好みだったのでここに書きます。女性目線と男性目線両方からの視点でそれぞれかけるのは凄いなと思いました。
ひとつだけ疑問なのですが、この作品はなぜM男タグがないのでしょうか。佐々木さんが先に自慰を見られたからでしょうか。
個人的にはこの作品は十分に女性上位の要素があらと思いました。
また天野さんのM男作品が見たいので勝手ではありますがタグをつけて頂けると嬉しいです。
大学生 さん 2022年2月28日