兄嫁がサキュバスのため精液を提供することになった話
ユウタに兄夫妻から突然連絡があった。お前にしか頼めない、と兄に言われて相談に乗ってみれば、なんと兄の妻、えりなはサキュバスで、子作りのためのエネルギー補給で大量の精液が必要なので協力してほしいとのことだった。そしてユウタは、えりなにフェラチオで精液提供をすることに。それだけで終わるはずだったが……。
「それじゃあ、よろしくね。ユウタ君」
にっこりと微笑んで、彼女――えりなさん――は言った。
まるでCGのような細くしなやかな尻尾と、肩甲骨から生えた蝙蝠を彷彿とさせる小さな羽。
漫画でも見ているかのような黒いセクシーなボンテージ衣装に身を包み、隠すつもりがなさそうな子宮があるであろう下腹部に刻まれた桃色の刻印。
そんな恰好をした兄貴の妻であるえりなさんは、嬉しそうに、そして美味しそうに俺のペニスをしゃぶり始める。
あまりに現実離れしているこの光景を見ながら、俺はこうなった経緯を思い返していた。
えりなさんと初めて出会ったのは、兄貴とえりなさんが結婚する2年前だ。
都心に出た兄貴が紹介したい人がいる、と久々に実家に顔を出した時、俺も紹介してもらった。
えりなさんは黒髪のボブで、優しそうなたれ目のとても綺麗な人だったと記憶している。
俺と家族は、兄貴とえりなさんの関係を喜んだ。
そしてその2年後である今、兄貴とえりなさんは結婚した。
まだ入籍して半年も経っていないくらいのある時、突然兄貴から俺宛に電話がかかってきた。
「すまない、ユウタ。突然だけど頼みがある。お前にしか頼めないことなんだ」
学生の時も成績が全然違ったし、元々の出来が違った兄貴が俺を頼ってくる時なんて、コンビニへのおつかいくらいなものだった。
そんな兄貴が、妙に深刻そうな雰囲気を出して相談をかけてくる。
面倒くさいことなのであれば、それなりの報酬でも約束してもらおうかと考えていた。
家に来てほしいと言われたので都心まで出向くと、兄貴とえりなさんが駅で出迎えてくれた。
特に変わったような様子はない。
強いて言えば、えりなさんが少し元気がないくらいだったか。
道中では話しにくいとのことなので、外食をすることなくすぐに家へと向かった。
「あのな、信じてもらえないと思うんだが……俺の妻、えりなは……その、サキュバス、なんだ」
家についてから聞かされたこの言葉。正直、一体何を言っているのかと思った。
サキュバス。その名前くらいはライトノベルやアニメを見ていたおかげで知っている。
どういう生命体なのかも、創作の範囲というか、言い伝えられていることが正しければ、知っていると言える。
端的に言ってしまえば、男から精液を搾り取る淫魔、と呼ばれる存在のはずだ。
「はあ」
一先ず俺は間抜けな返事をし、兄貴の言葉を待った。
兄貴は一つ呼吸を置いて、また話し始める。
「サキュバスと言っても、血はそんなに強くないらしい。ただ、まあお前が知ってるかはわからんが……精液を大事な栄養分としていてな。今までは俺だけでもどうにかなっていたんだが、えーっと、その……」
またも口籠る兄貴を見ていられなくなったのか、今度はえりなさんが話し始める。
「私達、赤ちゃんが欲しくてね。けっこう頻繁にセックスをしているんだけど、赤ちゃんを作るエネルギーを作るために大量の精液が必要なの。でも、この人の精液だけじゃ足りなくて……」
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