アナザーバトル (Page 3)
いつからだろうか、この世界が『普通』ではなくなったのは。
いつからだろうか、この世界に特殊な能力を持つ人間が生まれるようになったのは。
何もない空間に炎を発生させたり、電気を自在に操る能力を持つ人間たち……特殊能力者。
今では特殊能力者の存在は『当たり前』となっていた。
その能力を人のために使う者もいる。
だが、犯罪に使う者も多数いた。
宝石店に強盗を行い、香織によって倒された男たちは、警察によって連行されていく。
「連続強盗犯の逮捕協力、感謝するよ香織」
連行される男たちから横に立つ香織に視線を移しながら、スーツ姿の男が言う。
「あいつらには賞金が懸かっていたから……それだけよ」
香織は肩をすくめながら男に言葉を返す。
男の名は藤田。刑事であった。
特殊能力を使って犯罪を行う者には、賞金が懸けられる。
その賞金を目当てに特殊能力犯罪者を捕らえる者がいる。
香織はそんな者の1人……賞金稼ぎだ。
「賞金が目当てでもいいさ。連続強盗犯を捕まえてくれたんだからな」
香織が捕まえた男たちは、連続して3件の強盗を働いていた。
4件目の強盗を行ったところで、香織に出くわしてしまったのだ。
香織はスマートフォンで口座を確認する。
強盗犯を捕らえた賞金は、もう口座に振り込まれていた。
「どうだ、香織。大学を卒業したら警察官にならないか? 特殊能力者が警察官になってくれると助かる」
という藤田の言葉に、
「考えておくわ」
と応え、香織は背を向けて歩きだした。
「前向きに検討してくれよ」
藤田は香織の背に声をかける。
香織はヒラヒラと手のひらを振った。
◇◇◇
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