アナザーバトル (Page 4)

 その猫背気味の男は、夜の繁華街を1人で歩いていた。
 背の高い、30代くらいの男。
 繁華街の中を歩きながら、何かを物色するかのように視線を走らせている。
 と、男の視線がある一点で止まった。
 視線の先にいるのは1人の女。連れはいないようだ。
 男の口元にニヤリとした笑みが浮かぶ。
 女に向ける男の視線……その中には、ギラついた光があった。
 まるで獲物を見つけた獣のようである。
 猫背気味の男は、気づかれないように女の後を追った。

 

 女は繁華街から出る。
 繁華街は夜になっても賑わいを見せていたが、一歩外に出ると、その賑わいは姿を消す。
 繁華街から離れれば離れるほど、周囲はどんどん寂しくなっていく。
 女はそんな寂しい通りを1人で歩く。まだ、自分が追われているなど気づいていない。
 女は追われていた。
 追っているのは猫背気味の男……北原という名の男。
 距離を空けて追っているため、女は北原に追われていることに気づかない。
 北原にとって、距離は関係なかった。
 女の姿が視界に入っていれば、それで問題はない。
 北原は右手を女に向ける。
 すると……。

「きゃあっ!」

 急に女の体が吹き飛んだ。
 吹き飛び、叩きつけられる。
 そのまま、目に見えない力で壁に押し付けられた。
 壁に押し付けられ、手足を暴れさせている女に、北原は歩み寄る。
 北原の顔には笑みが浮かんでいた。それはとても残忍な笑みだ。
 目に見えない力で女を壁に押し付けている北原は、残忍な笑みを強めた。

「ひぐっ!」

 女が苦しげな声を漏らす。
 首が絞められた。目に見えない力で、首を絞められている。
 呼吸ができない。女の顔はどんどん青ざめていく。
 北原は青ざめていく女の顔を見つめながら、残忍な笑みをさらに強める。
 ゴキッという骨が折れる音が響き、女の首があらぬ方に曲がった。
 首の骨を折られた女を壁に押さえ付けている力が消える。
 女の体が路面に落ちた。女はピクリとも動かない。
 北原は女の前に立って見下ろした。
 首の骨を折られて死んだ女を見て、北原は楽しそうに笑った。

 

 首の骨が折れて死んだ女……それが連続して発見された。
 事件と事故……警察はその両方で捜査し、結果、事件だと判明した。
 犯人は特殊能力者……賞金が懸けられた。
 それなりの額の賞金で、香織はその事件の犯人を追うことに決めた。

◇◇◇

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