青い薔薇の剪定者は昔日の面影を纏う (Page 7)

「わた、わたしはぁ、俊和さんを愛してるんです。だから、おいて逝かないでぇ」

「睦実」

 腰を打ち付けながらも彼は声音を優しくして言葉を接ぐ。

「もう、私に付き合う必要はないんだ。君は君の人生を生きなさい。俊倫も子どもじゃない。一人でも充分に生きていける。私がそう育てた」

「違うの、違うの、俊和さん、わたしがあなたを愛しているから、ずっと、これからもずっと……」

「生きてくれ、睦実」

「俊和さんっ……!」

 ぐぅっと男根の反りが増す。太さが増し、睦実の身体をさらに貫いた。

「あああああぁぁぁぁっ」

 長々と絶頂の声を上げる睦実の中に彼は精を放つ。

 ゆっくりと負担にならないように男根を引き抜くと、ぐったりと彼女は崩れ落ちた。あまりの快感に意識を飛ばしてしまっている。

 長く息を吐き、俊倫は額の汗を拭う。

 それから睦実の身体を丁寧に拭き清め、布団に寝かせる。

 少なくとも表面上は穏やかに見える寝顔から目を離し、俊倫は露天風呂へと向かった。

 

 まだ夜が明ける気配はない。

 暗闇の中、湯気だけがゆらゆらと揺らめいている。

「親父、遺言は伝えた。あとは睦実さんが、自分で決めるさ」

 見上げると都心とは比べものにならない数の星が俊倫の頭上で輝いていた。

 大きすぎる感情は時として人の心を押し潰してしまう。そうならないように忘却という機能が人の心には備わっているのだ。だが、時としてそれでも抱えきれない痛みや哀しみを人は負う。

 そんな感情を希釈する手助けを俊倫はしている。『ブルー・ローズ』での自分の役割を彼はそのように了解していた。

 誰かの人生を全て背負ってやることはできない。誰だって自分の人生を背負うので精一杯だ。

 俊倫を助けてくれた恩人は、そう言った。

 誰かの人生を欲しがることも、誰かに自分の人生を背負わせてしまうことも我儘なのだと。

 愛するからこそ、重荷にならぬよう。

 俊倫の父は、そう思って自分のために生きてくれと言い遺した。

 俊倫は愛する人が自由になれるように、自らの恋情を亡き者にした。

「女の好みは似てるなんて、笑えないな。まったく」

 湯気を割り、俊倫は湯船に身を沈めた。

 湯の温もりがじわりと体の芯まで到達する。

 だが、胸の空虚にまで届くには、今少し時間が必要らしい。

(了)

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