有栖川兄弟の愛犬の日常。
大学生の千絵が応募したのは、夏休み限定の割のいいアルバイト。しかしその初日から、彼女は一切の人権を剥奪され、ただ一匹の犬として振舞うことを強要されるのだった。逃げ場のない別荘地、きっとこの夏が終わっても、少年達の戯れは続く…
「あ、これもう焼けてるじゃん。はいチェリー、あーん」
網の上で肉をひっくり返していた少年は、串に刺さった太いウインナーを、何の躊躇もなく『チェリー』の下の口に食べさせた。
「はぐっ…!きゃひっ、きゃひぃぃぃん!」
「どう?美味しい?」
「あっ、きゃぅん、わぅんっ!」
少年の足元では、『チェリー』が背中に珠の汗を浮かべ、四つん這いで見悶えている。
「…流石にそれは熱いだろ。なあ、チェリー。俺が冷やしてやるからな」
もう一人の少年は『チェリー』の頭をくしゃくしゃ撫で、所在なげに舐めていた棒アイスを、ウインナーを抜いた穴に差し込んだ。
「ふっ…!ぅ、んっ…」
その冷たさに驚いたのか、『チェリー』は声を上げず、金魚のように口を開閉する。
爽やかな空色のアイスがちゅぽちゅぽ出し入れされると、溶けた甘い蜜が太腿を伝い落ちた。
「えー、デザート早くなーい?僕にも頂戴」
「これ、最後の一本」
「はあ?いっつも自分ばっかりさぁ—…」
小鳥のさえずる広い庭に、楽し気な小競り合いの声が響く。
その様子を『チェリー』は、涙に潤んだ瞳で見上げていた。
*****
「夏休みの間、息子たちの相手をしてあげて欲しいの。難しい年頃だから、大変だと思うけど…」
そう説明された大学生の宮下千絵は、仕事内容を普通の家庭教師だと信じて疑わなかった。
雇い主の有栖川家は、言わずと知れた名家だ。
一ヶ月限定で緑豊かな別荘地の豪邸に住み込み、報酬も破格。
こんな好待遇のアルバイトに、身寄りもない苦学生の千絵が採用されたのは奇跡である。
この仕事の給料が入れば、後期の授業料だって楽に払えるだろう。
相手をするのは双子で、寡黙で穏やかな兄の涼平と、人懐っこくやんちゃな弟の恭平。
「一ヶ月お世話になります。宮下千絵と申します」
「…よろしく」
「わーい待ってたよー!仲良くしようね!入って入って!」
可愛い笑顔に油断をして、子供部屋に足を踏み入れた途端…
「きゃぁっ?!」
千絵はいきなり羽交い絞めにされ、後ろ手に手錠で拘束された。
「千絵ちゃんならさあ、チェリーはどうかな?可愛くない?」
「別に何でもいい」
「チェリー?ちょっと、何言って…あっ!」
狼狽える千絵を無視して、恭平が力任せに服を脱がせていく。
「いっ、いや、やめて!きゃぁあ!」
「やっぱペットといえば犬でしょ」
「犬はうるさい。俺は猫が良い」
「えー?じゃあ、じゃんけんぽん!はい俺の勝ち—!」
「…はぁ…」
「いやぁ———!!」
訳も分からぬまま、ストッキングと下着が一気に下ろされた。
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