バスの中の秘め事 (Page 2)
「高校の修学旅行の時もさ、こうしてバスで隣に座ってたよね」
「…うん、そうだったね」
由佳も顔を綻ばせる。
「その時、初めてこうして手を繋いだ」
明がまた由佳の耳元で言った。
「うん、覚えてるよ」
修学旅行の少し前に2人は付き合い始めた。
初めての恋人と同じ班で回る修学旅行がどれほど楽しかったか。
バスの中でこっそり繋いだ手の感触が互いの緊張でしっとりしていたことまで、由佳は昨日のことのように思い出せる。
「もう4年も前か…でも今も」
明は繋いでいない方の由佳の手をとって自分の胸に当てる。
「由佳とこうしてくっついてたら、すげードキドキする」
由佳は明の言葉が嬉しかった。
すぐにもぎゅっと抱きしめ合いたい気持ちになったが、バスのシートに横並びという状況がそれを許さないため、由佳の方から身体をぐっと伸ばして、明の頬にちゅっとキスをした。
バスの車内にはそれなりに人が乗っていたが、夜ということもあり、寝ている人も多い。
また、2人が座るシートの通路を挟んだ隣側には人がいなかったため、2人の行動を見咎める他の乗客はいない。
「ね、今日明の家に泊まってもいい?」
本当ならそれぞれ1人暮らしをしているアパートに帰る予定だったが、バスを降りる場所からは明の家の方が近い。
明の家で、このまま身体をくっつけ合っていたいと由佳は思った。
「うん、俺もそうしたいと思ってた」
小声で交わし合い、2人は手を繋いだまま、互いに体重を預けあってぴたっと寄り添った。
到着まではあと20分程。
早く、早くと思う気持ちを互いに持っていることが、痛いほどわかった。
明が、繋いだ手の指をもぞもぞと動かし始めたのは、それから2分と経たない時だった。
気持ちが高まり、我慢できないといった風に絡めた指をすりすりと擦り付けてくる。
「っ…」
明の長い指が自分の手の甲や掌をまさぐる感覚に、ぞくぞくとした快感を覚えて、由佳は声にならないため息を漏らした。
抵抗するように明の顔を見るが、その目はすっかり発情して潤んでいる。
「我慢できない」
耳元で明にそう囁かれると、じわっと自分の中から欲望が溢れ出すのを由佳は感じた。
そして由佳も明に応じるように、絡めた指を動かして明の手を愛撫し始めた。
これくらいなら大丈夫、という気持ちと、これ以上はバスの中ではできない、という気持ちが混ざり合ってどんどん興奮が高まっていく。
「早くしたいね」
耳元でぼそぼそと囁き、明は由佳の首筋をぺろりと舐めた。
「ふっ…っ、ぅ」
びくんと反応した由佳の身体は、それでもどうにか声を出さずに耐えている。
「ばかっ、ダメだって」
あまあま!
こんなドキドキもステキ(><)*。
イエロ。 さん 2023年1月22日