ビッチな先輩の企み (Page 2)
大樹はまだ知らなかったのだが、中野早紀は仕事も早いが手も早い、根っからの男好きとして密かに有名だった。
機会さえあればどんな男とでも寝る股のゆるいビッチだと、年嵩の男たちから噂されていることを早紀は知っているしもちろん不快だが、ある面で仕方がないとも思っている。
というのも、早紀は1度寝た男は攻略したものと見なすため2度目がないのだ。
見境なく手を出すし誘われれば断らないが、どの男も1度試せば十分としか思わず、真面目な関係を築くつもりは毛頭ない。
1度寝て、しつこくしてきた男を片っ端からすげなくあしらっているため、男たちの逆恨みによる悪口を止めることができないのである。
それでも同世代の中で頭ひとつ抜けて仕事ができるため、男たちは早紀をただのふしだら女扱いすることができず、彼女は特に不自由を感じず遊び続けているという訳だ。
「先輩、やっぱり僕…」
「ここまで来てなに言ってんの?」
早紀のマンションに入ろうとするところまで来て、大樹は怖気付いていた。
気軽に家に入れるという行為に、自分と早紀の間に男女のあれこれは起こり得ないと言われているようでもあり、それも少し悲しかった。
「うち、客用の布団もあるし、そこそこ広いから本当気にしなくていいんだって」
早紀は、もちろん大樹に客用の布団を使うつもりなどなかった。
セックスをして同じベッドで寝る。
20時を過ぎて職場で残っているのが自分たちだけになった時点で、今夜は大樹と寝ようと思っていたのだ。
大樹の家が会社から少し遠く、終電も早いことは指導係だから知っていた。知っていてわざと電車がなくなってから声をかけた。
「若いもんが遠慮することないの」
「…すみません」
にっと笑って早紀が大樹の肩を叩くと、ようやく大樹は頷いた。
大樹は身長はそこそこ高いが筋肉が付かないたちなのか細く、顔だちも悪いことはないが決定的に垢抜けないところがあった。
明らかに女性経験が少ない、あるいはゼロかもしれない男を相手にするのは、早紀の男遊びの中でも娯楽性の高いものなので、早紀は早くも興奮し始めている。
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