キャバ嬢と同伴出勤

・作

ある地方都市に一人で旅行に来て、街をあてもなく歩いていると若い女からナンパされた。彼女はキャバ嬢で、入店に遅れてしまい同伴者がいると罰金が免除されるので同伴者をナンパしていたのだった。警戒しつつも彼女と同伴出勤することにした。

お盆休みで、地方都市に旅行に来て繁華街を暇そうに歩いていると、女と目があった。

女は、20代後半くらいか、スタイルも普通、顔は悪くない、服装はジーパンにTシャツ姿とラフな格好をしている。

突然その女が、

「お茶おごって」

と緊張した感じで声をかけてきた。

「ここの町は、女がナンパするところなのかな?」と都合のいいように解釈して、軽い気持ちで

「いいよ」

「じゃー、ついてきて」

と言われ、ついて行くことにしたが、どこへ連れていかれるのだろうと不安ながらもついていった。

普通の近くにあった喫茶店に案内された。

席に着くと、女は言った。

「わかるでしょ?」

「なにが」

「同伴でお店に来てほしいの、お店に入る時間に間に合わなくて、このままだと、罰金なの。同伴だと罰金はなし。」

あー、そうかと納得した。

一応、店のことを聞き、ネットで調べて問題なさそうなので同伴出勤することにした。

まだ、明るい時間で客は誰もいない。

席についてしばらくすると、彼女は、先ほどとは違ってドレス姿に変身していた。

「今日は、ありがとうございます。瞳です。」

延長なしで、時間まで旅行中だとか、観光にはどこへ行けばいいとか話して、仕事が終わったら一緒に食事をする約束をして店を出た。

待ち合わせの喫茶店に着いたが、彼女はまだいない。

一見の客とキャバ嬢との約束がどれほどの信頼性があるかと思いつつも待っていると、時間通りに彼女は来てくれた。

「まった?」

「今、来たところ」

「来ると思ってた?」

「半分くらいかな」

「もう、遅いからここで軽く食事でいい?」

「そうしようか」

「ところで、今日はどこに泊まるの?」

「まだ、決めてないけど、どこがいい?」

「今からだと、ラブホくらいしかないけど、何もしないって約束してくれたら、一緒に行ってもいいわよ。」

「無理やりやったら犯罪だから。それは大丈夫だけど、怖いお兄さんが部屋に踏み込んでこないよね?」

「大丈夫よ、そんな人いないから」

喫茶店を出て、近くのラブホへ2人で行くことになった。

 

部屋に入ると、ソファーに座ってお茶を飲み、心を落ち着かせたが、こんな所に来て何も無いわけがないと期待してしまう一方、寝るだけにしておこう、怖いお兄さんが出てくるかもしれない―――本能と理性が喧嘩していた。

お茶を飲み終わると、彼女は、

「お風呂に入って来るから、ここで待ってて。来ないでよ。」

と言って、シャワールームへと入っていった。

「ゆっくり入っておいで」

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