ちっちゃい妹じゃだめですか? (Page 3)
トイレから出ると店員の姿はなく、代わりに店の入り口か騒がしくなっていた。
なにか揉め事が起きているらしいその声に、俺はギョッとする。
「あの、小林さん。先に戻っててもらえますか?」
「うん。……ごめんね」
何かに気付いたように微笑んで席へ戻る小林さんを見送ってから、店の入口へ向かう。
小学生らしき女の子が店員と口論をしているようだ。
「だからあ、私は大人なの! 免許も持ってるし、働いてるし!」
そんな女の子の声は、確かに聞き覚えがある。
「はいはい、分かりました。お父さんが店内にいるんですか?」
「話、聞いてる? 私は人を探してーー。あ、智くんっ!」
女の子が、少しホッとしたような怒った声で俺の名前を呼んだ。
軽く頭を下げた店員が逃げるように去って行くのを確認して、俺は彼女に微笑んだ。
「凛。家でゲームしてるってむくれてたんじゃなかったっけ?」
「むうっ! メールもラインも電話も反応もないから、ここらへんの飲み屋、片っ端から探したのよ! このばか!」
凛は子供のように頬を膨らませると、ぎゅっと抱きついてきた。
少し慌てたが、娘が抱きついているように見えるからか誰もなんの反応も示さない。
「飲み会だって知ってたろ? わざわざ来なくてもうちで待ってたら……あ」
俺はハッとして、ポケットから鍵を取り出した。
「ごめん。置いとくの忘れてた」
「寒かったんだからあ! ?……っ!」
俺のみぞおち辺りに頭を擦りつけて甘えた声を出した凛が、バッと顔を上げた。
その赤茶色の目の奥で、「なんで?」という言葉が揺れている。
彼女の細くて小さな手が、やっと萎えてきた俺の肉茎をさわさわと擦った。
「……これは、その」
「……さっき、トイレから女と出てきたよね?」
「え? いや……」
「それに……匂いもする」
「まぢっ! まだ出してなーー」
「……ふうん。そういうこと?」
「いや、違う、違うんだ! これはーー」
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