出会いは、寂寞から (Page 4)
さっきの元婚約者の男は、牧人さんの息子だ。
私はあの男と結婚直前の深い仲になっており、牧人さんとも顔を合わせていた。
だが、入籍を控えた冬の日、見てしまったのだ。
男と、牧人さんの再婚相手である義母が、裸でまぐわっているところを。
半狂乱になった私は男との婚約を解消し、いつまでも泣き続けた。
その時に、息子の非礼を詫びて、ずっと支えてくれたのが牧人さんだった。
彼だって十分すぎるほど傷ついたはずなのに、高額の慰謝料を払うとまで言ってくれたのだ。
初めはとても恋愛感情なんて抱くような間柄ではなかったが、何度も話し合いを重ねるうちに、彼に惹かれている自分がいた。
そして、気がついたら、牧人さんと結婚していた。
私はそそり立ったモノを舌で丹念に愛撫し、ベッドで仰向けになった彼を見下ろしながら、自分の中にそっと挿入させる。
さっき与えてもらった快感のお返しに、今度は私が、彼を気持ち良くする番だ。
「牧人さん、気持ちいい…?」
私は腰をゆっくりを動かしながら、彼に問う。彼は頷きながら私の腰を掴むと、激しく揺さぶり出した。
さっきの興奮が再び蘇って、私は淫乱な女のように、どこまでも奔放になる。
私と牧人さんの出会いは、最悪なものだった。
どこまでも終わりのない、寂寞に駆られる日々だった。
私は「だめ、イク」と掠れた声で繰り返し、ますます貪欲に彼を飲み込もうとする。
頭が真っ白になった瞬間、私を傷つけた男の顔なんて、もう忘却の彼方まで遠ざかった。
(了)
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