出戻りねえちゃん (Page 3)
翔太と会う前日には久しぶりに念入りにボディケアを行ったし、当日は胸元が緩く開いたTシャツを選んだ。
こんな気持ちは本当に久しぶりだった。
ここ数年、自分の性欲に向き合えば、それが満たされない惨めさとも向き合わなければならないため、未智はオナニーもしていなかったのだ。
カラオケの室内に入ってからはカロリーを消費する曲を数曲歌って、そのあとは少しのお酒で愚痴モードに切り替えた。
セックスレスの挙句に若い女と不倫されたこと、相手の女と夫がどんなに卑猥なやり取りをしていたか、寂しい夜を重ねて自信を失ったことまで洗いざらい打ち明けながらも、ボディクリームの香りが翔太の鼻をくすぐるように接近して、豊かな乳房を寄せて見せつけることを忘れはしなかった。
「こんなこと翔太にしか言えないんだけどさ、私もう女として終わっちゃったのかなって悲しくなるんだ」
「そんなことないよ」
「そうかな?」
「俺はずっと未智ねえちゃんのこと、女として…見てるから」
翔太の目線が深い谷間に移り、ギラついたものを感じさせた。
「慰めてるつもり?翔太のくせに生意気じゃん」
「茶化すなよ、本気だって」
もちろんずっと知っていた。
そして大人になった今、未智も翔太を男として見ている。
「ふふふ、ありがとう…お世辞でも嬉しい」
最後の一押しと思ってやや湿った声音で放った台詞が見事に刺さって、次の瞬間未智は翔太に押し倒されていたのだった。
*****
やや古いそのラブホテルは、地元の若者にとっては馴染みのある場所だったが、学生時代に交流があった人たちは未智の弟も含めてこの地元にほとんど残っていないので、2人の関係を誰かに知られてしまう心配はないと言ってよかった。
部屋は少しタバコの匂いがする。
いかにも地方都市の小さなラブホテルといった風情の部屋で、しかし2人はもう互いのことしか見えていなかった。
部屋に入るなり翔太は未智の身体をぎゅっと抱きしめた。
「ずっとこうしたかった」
やっぱり翔太は性欲と恋愛感情がごっちゃになっているなと未智は思った。
しかしセックスを盛り上げるために情熱的な言葉をもらうのは悪い気はしないので、わざわざ訂正させようとは思わない。
「んっ…はずかしい…」
「未智ねえちゃん、俺我慢できないよ」
欲望に忠実な潤んだ瞳でねだられると、未智は本当にぞくぞくした。
こんな風に激しく求められたかったのだ、ずっとずっと。
「シャワー…は…」
「そんなのいい」
言い終わるが早いか翔太は未智にキスをした。
カラオケボックスでしたよりずっと無遠慮で濃厚なキスだった。
「んんっ…ぅ、ふぅ…んむ、ぅ」
くちゅくちゅと水音を立てながら、舌を絡めあう。
もっともっとと求める気持ちが強くなり、幼馴染と行為に及ぶ気恥ずかしさも消えていった。
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