出戻りねえちゃん (Page 6)

沈むように眠った気がしたのに、目覚めたらホテルに入ってからまだ2時間ほどしか経っていなかった。
それだけあっという間に致してしまったということで、自分たちの興奮ぶりを思うと少し恥ずかしくなる。

「人妻じゃなくなったら、また会ってくれる?」

帰り道を歩きながら、未智はぼそっと言った。

「俺は明日からでも、毎日でも会いたいよ」

翔太は前を向いたまま、しかしはっきり聞こえるように言った。
正式に付き合えば、結局この燃え上がるような感覚はなくなってしまうのだろうと未智は思う。
結婚の失敗は、そう簡単に振り切れる軽い話でもなかった。
だけど。

「…本当に、翔太とだったら良かったのに」

今はまだ無理でも、もし次に男を信じる時が来るとしたら、その相手は間違いなく翔太だ。
未智は涙目で笑いながら、きっとまた会うであろう幼馴染に「ばいばい」と手を振った。
子どもの頃からずっとそうしてきたのと、ちょうど同じような仕草で。

(了)

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