遠隔ローターは愛液の匂い / 古着屋・久志の「出会い系」冒険④ (Page 3)

その当人は、弥生(仮名・34歳/待機中主婦・OL)で、コロナ前までは普通の共働き家庭だった。今はリモートと自宅待機で、週に3日の出勤しかしていない専業主婦に近い状態のOLだ。
終業しても「お店が早く閉めてしまうので、ゆっくり飲みにも行けないから出勤日の外部デートが難しいのが✖ね。口実にならないから」と、書いてきた。

「出会い系は、よく使ってるの?」

「同僚との浮気や不倫はドロドロしてNG! だから、自然とSNSに頼っちゃいますよ。ナンパなんて、されないしね(大笑)」

「オレの場合は自営だから、かえって昼間の方が都合がイイですよ。それに、メッセージに書いていた『ディスタンス・プレイ』にも、覚えがあるし」

「『プレイ』なんて書いていませんよぉ~。でも、興味はアリアリのアリよ(爆)」

結局、弥生はそんな状態でも、というより「そんな状態(平日の日中に時間が取れる状態)だから」昼間のアポがどんなモノなのか興味津々とも書いてきたのだった。
それで待機日の昼間で、なおかつ息子の塾のお迎えがない日を狙ってメッセージを入れていたらしい。

それでも、なかなか「網にかかる男がいないw」と嘆いていた時に、久志のメールが目に留まったという事らしい。それと、ぬけぬけと「ディスタンス・セックス云々」と書いてもきているという事は、「遊び慣れ」していると久志は予想した。

弥生の立場から見れば、ヤリモクメールや冷やかしばかりで辟易していたので、久志のメールに興味を持ったのもうなずけるというものだった。

その、肝心の「ディスタンス・セックス」の内容を久志に尋ねると、

「挿入はあっても無くても良いですよ。離れた位置から遠隔操作したオモチャで気持ち良くさせてあげますよ」

という内容だった。

その核心部分を聞くまでにも、サイト内メールでやり取りをしていたので「普通に仲良くなった」というのも幸いしたのだろう。
弥生は打ち解けてきて、下ネタも交わすようになっていたのである。

「オモチャはこっちで用意するから、会ってみない? オレを見て、生理的に受け付けなかったら逃げ出せばイイんだから」。

これでますます弥生の気が楽になったのか、翌々日の昼前にはデートの約束を取り付けたのであった。

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