春爛漫 (Page 9)
二人は触れ合っている部分から体の境目がほどけ、快楽を触媒にして混ざり合ってくような気持ちになっていく。気付けば友也と馨は強く抱き合い、お互いに腰を押し付け合って性感を貪っていた。
一人では味わえない。与えるだけでは満たされない。
体を繋げ、一心に、一緒に昇り詰めていく。
理性を人間が手に入れるより、ずっと前。まだ愛という言葉すらなかった頃に、そうであったように友也と馨はお互いを求めた。
額をくっつけ、荒い息を交換して、二人は初めての快楽を与え合い、貪り合う。
「あっあっ、ああぁ、ああ、くるぅ、すごい、おっきいのくるよ」
ぴんと馨が足をベッドに突っ張り、膣肉の締め付けが一気に強まった。友也も夢中になって腰を振り、肉のぶつかる音と淫水が弾ける音が連なる。
「あん、やぁ、ああ、あああぁ、これ、いくの? 私のいくの? 友也ぁ」
「イって、馨っ、イって!」
「ああぁぁ、イク、イク、友也と一緒にいきたいよぉ」
「一緒に、一緒に!」
ぎゅっと膣が収縮し、一瞬後に膣奥へ、子宮へ向かって激しく蠢動した。それは自律した雄の精を一滴残らず搾り取ろうとする肉体の反応だ。性悦の頂きに辿り着いた柔らかな女体が見せる、男を逃がすまいとする烈しさ。
それに容易く呑み込まれ、理性をかっと染め上げる射精の欲望へ友也は身を委ねた。
若いとはいえ、それでも続けて短時間で二度目の射精である。当然ながら勢いは弱い、と友也自身が思っていた。だが、意に反し、二度目の射精は溶岩のような熱さと粘度を伴って馨の奥へと殺到する。
「うあぁ……」
初めて女性の奥へと射精する感覚は自慰とは比べ物にならなかった。友也は許容量を超える快感にちらちらと目の前で星が散った気がする。その束の間の瞬きが去ると、馨への慈しみが新たな星のように瞬きはじめた。
一方の馨も、初めての膣内絶頂に体を戦慄かせていた。
頭のてっぺんから四肢の先まで法悦の火が燃え広がり、恐ろしいまでの激しさで理性を焼き焦がした。理性の焼け野原に残ったのは愛しいという気持ちだけだった。
ぐったりと体を投げ出し、友也と馨は目を閉じて、ベッドの上でお互いの体温を感じる。
初めての性交は強烈な目眩のようでもあり、お互いの存在をこれ以上なく近くに感じられる不思議な体験でもあった。
「ねえ、くっついてもいい?」
目を開けた馨が珍しく甘えた声で問う。
それに友也も応える。
「抱き締めてもいい?」
「うん」
馨の上からどいた拍子にぬめりとした感触を伴って、彼女の中から友也の性器が抜ける。逆流した精液には微かな朱色が混じっていた。
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