秘密のサービス

・作

30代の人妻、宮本寧々は夫とのセックスレスに悩んでいた。友人の勧めで訪れたところ、そのエステにいたのは同世代の男の施術師である瀬川巧だった。はじめは男性のエステティシャンに警戒した寧々だったが、そのマッサージの技術にすぐに心を許してしまう。1度目の施術で寧々は性感のスイッチを入れられたがその時は通常のエステ施術のみで終わった。しかし何かを期待して2回目に訪れた寧々が受けた極上の施術とは…

宮本寧々がその雑居ビルの3階にあるエステに来たのは、今日が2回目だった。
オフィス街から少し離れた場所にあるビルは割と新しいが、外側からはどんな事業者が入っているのかよくわからない。

エステといっても華やかな明るさはなく、どちらかというと落ち着いた雰囲気のその場所に違和感を覚えながらも2週間前に一度訪れたのは、友人から紹介されたからだった。

寧々は緊張しながら、マンションの1室のような重いドアを開ける。
からん、とドアベルが小さく鳴るとカウンターの奥から男が出てきた。

「いらっしゃいませ、宮本様」

この店を1人できりもりしているエステティシャンの瀬川巧だ。

「お待ちしておりました」

にこっと笑って、巧は施術室の方に寧々を誘導した。
ハンサムというのではないが、一重の細い目が柔和に垂れ下がったその顔は、どこか安心感を与える。
背がさほど高くなく、色白な見た目は女に警戒心を抱かせない。
それにすっかり心を許して、寧々は1回目あんなことになってしまったのだ。

*****

寧々が夫の剛とのセックスレスで悩み始めたのは結婚して1年が経った頃のことだった。
30になる前にという寧々の希望を聞いて剛が結婚を申し込んでくれた時、こんな悩みを抱くことになるとは正直予想もしていなかった。
交際期間中は週に1回ペースであった性交渉が入籍を境に段々と減っていき、半年過ぎる頃には寧々の方から声をかけなければ行為に及ばなくなってしまっていた。

寧々は自分の性欲が強いと思ったことはない。週に1度では多いとさえ思うくらいだった。
しかし求められないとそれは強烈な不安となって寧々を襲い、恥を忍んで夫を誘って行為に至ってもその不安や虚無感は埋められなかった。

学生時代の友人である由華に久しぶりに会ったときに思い切って打ち明けてみると、由華がこのエステを紹介してくれたのだった。

「やっぱりちょっと太ったりしたからなのかな…」

「うーん、私は寧々が太ったとは思わないけど、気になるようだったらいいエステ知ってるけど」

「エステ?」

「かなりおすすめだよ、肌つやとかもう全然違う」

「そういえば由華、前に会ったときより若くなってる気がする」

「でしょ?従業員の人がひとりでやってるところだから安くて通いやすいの」

「エステかぁ…」

「それがすぐ悩みの解決にはつながらないかもしれないけど、女としての自信がつくことは間違いないよ」

「自信…」

エステで少しでも綺麗になれば、まさに今自分が失っている「女としての自信」をあるいは取り戻せるのかもしれない。
そう思った寧々は親友の勧めるエステに行ってみることにしたのだった。

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