人を狂わす青い薔薇の行方 (Page 2)
古賀は無表情なまま、言葉を接ぐ。
「私共で対処しましょう。それが最善です」
「最善と言やぁ、あのお嬢さんだが……」
「問題が?」
「直近の報告で上げた薬を使った暗示と条件付けだけじゃあ、なさそうだ」
なるほど、と古賀は頷いた。
「私が預かりましょう。身辺も今は片付いていますので」
「いやに物分かりが良いな、旦那」
すっと澤木の目が細められ、眼光が鋭くなった。射すくめるというよりも、射貫くような強さだ。それに対し、古賀は苦笑する。
「同病相憐れむ。それだけのことです」
しばらくじっと澤木は古賀の目を見ていたが、不意に視線を外した。彼の前にカフェオレが置かれたのだ。それを一口飲み、表情を緩める。
「まあ、依頼人の素性なんざ、気にするようなことでもないな」
「あちらが彼女を追ってくる様子はありますか?」
「あのお嬢さんよりも、俺と鈴鹿を追い回してるよ。ケジメをつけさせたいんだろうな」
何でもないことのように澤木は言う。だが、古賀は胸の奥が重たくなってしまう。
「申し訳ありません」
「気にしなくていいさ。そっちも色々とゴタついてみたいだしな。連中とやり合うにも足手まといがいない方が助かる」
「本当に……」
古賀の顔を見て先が吹き出す。
「そんな顔しなさんな。お嬢さんは旦那に任せるぜ。瀬戸、良い味だった」
そう言って澤木は古賀に背を向けてしまった。
静けさを取り戻した店内で、古賀は再び待つことになる。
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mojagksqgu さん 2024年11月11日