人を狂わす青い薔薇の行方 (Page 5)

 古賀はかつて自分を一個の性玩具として開発した者達のことを苦々しく思い起こす。

「駄目ですよ」

 古賀の首筋に口づけようとしたアトリを引き剥がし、古賀ははっきりと拒絶した。

「良いですか? 私やあなたが仕込まれたような一方的な性交は、どちらかを擦り減らすだけです。私達は性欲や感情、なによりも自らの発する香りを制御する必要があるのです」

 意欲に理性を蕩かし、吐息を熱くしているアトリから身を離し、古賀は床に落とした荷物を拾い上げる。

「帰宅するまで、私があなたを責めます。自分を見失わないようにしてください」

 肥大化させられた性欲を配下に置くことができなくては、永遠に性玩具のままだ。

「さあ、参りましょう」

 『ブルー・ローズ』の会員を歓待する時のように、古賀は優雅に微笑む。

 言われた通りアトリも歩き出す。しかし、衣擦れにすら快感を得ているらしく、時折古賀に寄りかかってしまう。熱くなった体を預け、慰めてほしいと目で訴えるが、彼は微笑むだけで触れようともしない。

「お願いします。……体が熱くて、もうっ」

「ゆっくりと呼吸を整えて。息を吐く時に、身体の熱が逃げていく状態をイメージしてください」

 素直に深呼吸を繰り返すアトリの尻を古賀はスカートの上から乱暴に鷲掴みにする。

「ひんっ」

「呼吸を乱さないで、そう、ゆっくりと」

 尻の割れ目に添って指を下ろし、菊門を古賀は指の腹で刺激した。ひくひくとスカートと下着越しでも蠢いているのが分かる。ぐりっとさらに指を食い込ませると、爪先立ちになってアトリは快楽に堪える。

「我慢できたら、ご褒美を差し上げますよ。まずは帰宅するまで堪えてください」

 アトリを促し、着た時と同じように帰りもバスに乗り込む。

 車内は半分ほど埋まっており、古賀はアトリを伴い最後尾の席に座る。その席は車内の殆どの位置から死角になっており、古賀はアトリを奥まった位置へ座らせた。

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