愛しい面影

・作

幸せだった生活はある日突然崩壊した。家族思いの娘は、事故で急逝した母親と勘違いされ、実の父親に犯される。「パパとママになろう」と毎日のように繰り返される種付けレイプ。それでも逃げられないのは、父親まで失って一人になるのが怖いから…。

「…うん、OK!ママの味付けそっくり!」

一通り夕食を味見して、我ながら上出来だと思った。

テーブルコーデだってばっちり、ビールもキンキンに冷えている。

「パパ、喜んでくれるかなー…」

ママが交通事故で突然いなくなってから半年。

私は勿論涙が枯れるほど泣いたけれど、いまだにママと手を繋いで出掛けるくらい仲良しだったパパの落ち込みようは、それは目も当てられないほどだった。

幾許かの慰謝料を貰ったところで、幸せだった日々は帰ってこない。

けれどいつまでも泣き暮らしていては、ママだって安心して天国に行けないだろう。

だから私は、記念すべきパパの40回目の誕生日を明るくお祝いしようと、ママの得意料理を再現してそわそわと待っていた。

綺麗に拭いたリビングの窓に、自分の姿が映る。

制服の上に、ママが愛用していた白いレースのエプロン。

ふと思いついて、二つ結びにしていた髪をポニーテールに結び直すと、遠目にはママそっくりに見えた。

 

ガチャ、と玄関の戸が開く。

「あっ、お帰りなさい!40歳、おめでとー!」

「…え…?」

急いで駆け寄ると、パパはすごく驚いた顔をした。

「えへへ、すごいでしょ!誕生日だから頑張っちゃった!」

「あ、ああ…ありがとう…」

テーブルの上を眺めて、またパパは私をじっと見る。

「なあに?」

「…いや…俺はちょっと悪い夢を見てたみたいだ。そうだよなぁ、お前がいなくなるなんてありえないもんな。ははは…」

「!」

パパが私を抱き締めて、小さい頃よくそうしてくれたように頭を撫でた。

照れくさいけど、大事にされるのはちょっと嬉しい。

「あはっ…もー、どうしたの?恥ずかしいんだけ、…」

ちゅ、と唇が塞がれる。

ぽかんとしていると口の中に舌が入ってきて、ほんのり煙草っぽい苦い味がした。

「んん…?ふ、ぅむ…っ…」

…え、キス…?何で?パパ?

頭が真っ白になったままねっとり口の中を蹂躙され、息苦しくなりだした頃、やっとパパは顔を離した。

「はぁっ…!なに、え…え?今…」

「今日はそんな格好してどうしたんだい?何だか付き合いたての頃を思い出すね。君はいつまでも若いから、制服が良く似合うなぁ」

少しかさついたパパの手が、スカートの下に滑り込んだ。

「愛してるよ、陽子」

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