事故で頭を打ったら、女医をメチャメチャにできました
さる御曹司が運転する高級車にはねられ口封じにその親の息のかかった病院へ入院させられた。しかし、俺はその事故のおかげで女を発情させる力を手に入れたんだ。だから今日も、女医が俺の元を訪れる。
人にはいろいろな能力があるもので、それは何かのタイミングで急に開花する。
俺は、それが事故だった。
どこかの御曹司が運転する高級車が、横断歩道を渡る俺を跳ね飛ばしたんだ。
運が良かったのか、ベッドで気がついた時には頭以外は健康体そのものだった。
しかし頭を強打して頭蓋骨が陥没したため、首から上は包帯でぐるぐる巻になって頭骨を固定するネジが飛び出したバケモノだ。
「高橋さん、ご加減いかがですか? こっち見てくださいねえ」
担当女医の山下風美が、豊満な胸を強調するかのように屈んで俺の目を真正面から見つめた。
頭を骨折したわけだから、目の虹彩反応を確認するのは当たり前だろうが、大きな黒い瞳が俺を真っ直ぐに見つめてくるこの瞬間は、中学生のように胸がときめく。
香水を付けているはずもないのに、鼻の奥を撫でる彼女の香りが頭の芯を痺れさせた。
ああ、メチャメチャにしたい。
「……はい。大丈夫ですね。じゃあ、次は体温を測ります」
彼女は俺のパジャマのボタンをいくつか外し、するりと手を差し入れた。
僅かに冷たい指先が、汗ばんだ俺の肌の上を滑って脇の下に体温計を潜り込ませる。
「んふ。じっとしてください」
「ああ」
俺は軽く頷いて、離れていく彼女の細い指先の感触を味わった。
そして、体温計を挟んでいない右腕を上げ、彼女の頬にそっと指を這わせる。
「あっ! んはあああ」
途端に、彼女の瞳がとろりと潤み甘い吐息が漏れた。
「は、はふう。ふう、ふう。た、高橋さ……だめ、ですよ。まだこんな時間ーー」
「誰も来やしないさ。ここはあいつが用意してくれた特別ルームなんだから」
「ん、んん、でもお! んんんんっ」
俺の固い親指が柔らかい唇を撫でると、風美の身体がブルリと震えた。
その頬は赤く火照り、潤んだ瞳に残った理性がみるみるうちに溶けていくのが見える。
俺の指から溢れた何かが彼女の中に吸い込まれていくごとに、彼女の瞳から理性が消えていった。
これが、俺が頭の半分を失って得た能力だ。
彼女曰く、オキシトシンとかいう恋愛ホルモンらしいが、俺にはよく分からない。
「看護師を差し置いて担当医の先生がわざわざ来たってことは、期待してんじゃないのか?」
俺はそう言って、親指を唇の隙間に捩じ込んだ。
風美は戸惑うことなく指を咥え、甘噛みしながら舌を絡めてチュウチュウと吸い付いてくる。
「んん、おいち、おいちいいい、んんん」
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