彼女の代わりに (Page 3)

 彼女はよく笑い、よく話した。
 家の外でこんなに話すなんて、本当に10年前に戻ったみたいだ。
 俺が大学生で唯が高校2年生だったあの頃は、彼女は普通の女子高生だった。
 母親の連れ子だった彼女と出会ったのは、俺が中学に入ったばかりの頃だった。
 それからずっと本当の兄妹よりも仲の良い兄妹として、楽しく過ごしたと思う。
 そんな彼女が高校を辞めて、引き篭もった。
 実家から離れて仕事をしていた俺には、理由は分からない。
 でもいまの彼女は、その時にあった嫌なことを忘れたように笑ってくれている。

「ははは。お兄ちゃんって、変わらない。やっぱりカッコイイ」

「はあ? 今日振られたばかりのおっさんに何言ってんだよ。まあ、そのおかげで、こんなに可愛い女の子と食事出来たんだけどね」

「むう。さっきから、それ、ばっかり。……そんなに、言われると、好きになっちゃうよ」

 頬を赤らめた彼女が囁くように付け加え、ドキリとさせる。
 ダメだダメだ。

「……ははは。そんなこと言うと、襲っちゃうぞ」

「ん」

 彼女が小さく頷いたように見えた俺は、目の前のワインボトルに手を伸ばした。

*****

「ふう……」

 俺はため息を漏らして、ベッドに深く腰掛けた。
 ここは、食事をした高級ホテルの一室だ。
 楽しい時間と美味しい料理で飲み過ぎた俺達は家に帰り着く自信がなく、一緒にお泊りすることにした。
 彼女は、いまシャワーを浴びに行っている。
 結構飲んでるから心配だが、流石に一緒にお風呂はまずいだろう。
 いや、本当にまずい。
 ここまで彼女に肩を貸して運んだ時の柔らかな感触と甘い匂いが頭から離れない。
 可愛い妹は、いつのまにか女になっていたんだ。
 他意はまったくないはずだが、大きなクイーンベッドが嫌でも意識させる。 

「んきゃ!」

「っ! 唯!」

 悲鳴が聞こえ、俺は反射的にバスルームへ飛び込んだ。

「あ」

「へっ?」

 脱衣所へ入った途端、足を開いて尻餅をついている唯と目があった。
 何も身につけていない眩しい肢体の上をお湯の珠が転がり、白い乳丘の隙間に吸い込まれていく。
 括れた腰、わずかに縦長の臍、そして開いた太股の間に申し訳程度に生えた毛の下には可愛らしい割れ目があり、そこから少しばかり柔肉がはみ出している。
 俺はそんな彼女から目を離すことができず、ゴクリと喉を鳴らした。

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