彼女の代わりに (Page 6)
出会ってからずっと、兄は常に唯のことを気にかけ、助けてくれた。
あまりにも気にかけてくるので、唯のことを好きなんじゃないかと勘違いしてたほどだ。
それがそのうち、唯のほうが彼に夢中になっていた。
テストや受験で頑張る姿、好きなゲームで徹夜して寝不足になってる情けない姿、就活で追い込まれる姿、すべてが輝いて見えた。
なんでも最初に報告して相談もしてくれる彼の一番は、自分なんだと思ってた。
でもそんな彼は、唯を残して上京した。
なんの相談もなしに行ってしまった。
唯の時間はそこで止まっていた。
何もする気力がなくなり、誰の声も聞こえなくなっていた。
彼の家に呼ばれた時、またその時間が動き出した。
彼は常に唯ではなく他の誰かに恋していたけれど、そばにいられればそれで良かった。
だからただ、ずっとそばにいることだけを考えた。
一生懸命家事をして、彼の役に立つ。でも彼の邪魔をしないで、ただの妹として応援する。
昔みたいにお話しできて、時々彼の匂いに包まれて眠れたら、それだけで幸せだったから。
「ああ、俺もずっと好きだよ」
そんな彼の台詞は、唯の心を串刺しにした。
胸の奥をぎゅっと掴んで、ぜんぶ持っていった。もう彼のことしか考えられない。
とても優しい目で見つめてくれる。
でもその目の奥から獣が見つめ、お腹に当たる彼の固い屹立がその欲求を表していた。
唯の心の奥からも、同じものが溢れていた。
「お願い、お兄ちゃん。今日は、今日だけは妹を辞めさせて」
唯が心の底から囁くと、彼の目の奥の獣が蠢いた。
同時に、彼の屹立がピクリと跳ねる。
唯は躊躇なくその肉槍に手を伸ばし、そっと握った。
「熱い……」
焼けるように熱く、お腹の奥がきゅんとするほど愛おしい。
軽く扱くと、目の前の彼の目がとろりと蕩け、腰が押し付けられる
「唯」
彼の声には、唯を求める響きがあった。
唯はコクリと頷き、肉槍の先端を自分の一番敏感なところに押し当てる。
くちゅりという音と共に今まで感じたことのない甘い痺れが体中を駆け巡った。
ゾクゾクと背筋が震える。
「んはあ」
思わず漏れた声は、自分でも聞いたことがないほど艶があった。
押し当てただけでこんなことになるのに、このまま挿入れたらどうなるのか恐怖すら感じる。
でも、彼にならどうされても良かった。
「唯を、俺のものにするからな」
そんな彼の台詞が聞こえた瞬間、自分の指しか入れたことのない穴に、灼熱の肉棒が挿入ってきた。
「ん、んあはんっ!」
メリメリと音がする感覚と、ビリビリとした痺れが手足の先にまで響く。
が、不意にその侵入が止まった。
「え?」
「大丈夫か?」
ぼやけた視界の向こうから彼の優しい声が聞こえてきて、心の奥まで染み込んだ。
どうやら涙が出ていたらしい。
唯はコクコクと頷き、彼の背中に腕をまわして腰に両脚を絡めた。
もう、絶対に離れたくない。
「お願い、します」
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