彼女の悩みのその先に
彼女の清美と同棲している茂は、ここ数ヶ月ほど忙しく、彼女とのスキンシップがなくなっていた。そんなとき、風呂上がりの姿でため息を吐く彼女を見て、股間の疼きを覚える。そんな彼を見た清美も身体の疼きを抑えられず、彼に身体を預けてきた。彼女の牝の匂いに反応した茂は獣欲に従って彼女をベッドに押し倒す。
「はあ……」
仕事から帰ってくるなり、脱衣所から絶望的なため息が聞こえてきた。
俺はネクタイを緩めながら、ひょいと脱衣所を覗く。
バスタオルだけを身に着けた清美が、蹲るように床を見つめていた。
憂いのある目で俯き、湿った髪が頰に張り付いている姿は、妙に艶っぽい。
俺はゴクリと喉を鳴らし、脱衣所に足を踏み入れた。
「あの、……どした?」
「うん。だいぶん増えちゃってさあ……。って、え?」
「え?」
「えええええっ! なに見てんのよ! あっちいって!」
「え? あ、ごめん! でもーー」
「女の子が体重計載ってるとこ覗くなんて、サイテー!」
「あ、そか。ごめん」
俺は慌てて脱衣所を後にすると、着替えるために寝室へ入った。
少し小さいセミダブルベッドはきちんと整えられ、お日様の匂いがする。
スーツからスエットに着替えながら、彼女の丸い肩や滑らかな鎖骨、細い項を思い出していた。
風呂上りということもあって、すごくいい匂いもしてた気がする。
このところ忙しくて、スキンシップがあまり出来てないせいか、妙にドキドキしてきた。
息子がスエットを押し上げて、テントを張ってしまっている。
このままでは彼女の前に出られないだろう。
「ふう……。落ち着け、俺」
俺はベッドに座り、自分に言い聞かせた。
彼女はただ体重を量っていただけじゃないか。
「最近、ホントに忙しかったからなあ……」
俺は壁にかけたカレンダーを見て呟いた。
もう月末だというのに、そのカレンダーはまだ先月のままだ。
俺も清美も帰りが遅く、擦れ違いが続いていた気がする。
「あの……」
「えっ? あ、ごめん!」
突然かけられた声に、俺は思わず謝った。
それに「ふふ」と楽しげな笑い声が答える。
「それ、こっちの台詞だから。……ごめんね、茂。大きな声出しちゃって」
寝室のドアに身体を預けるようにして立っている清美は、申し訳無さそうに眉をハチの字にしていた。
彼女が着ているパジャマは少し大きめで、袖や裾が余っている。どうやら、俺のパジャマを着ているらしい。
「あ、いや。俺が突然声かけたからね。ごめん」
「んふふ。うん。……今日は早かったね」
彼女は嬉しそうに笑みを作ると、俺の隣に座りながら首を傾げた。
俺は自然な風を装って股間のテントを手で隠し、微笑みを返す。
「あ、うん。やっと落ち着いたよ。清美はもっと早かったじゃん」
「ん。私の方もイベントが終わって落ち着いたの。また、しばらく早いと思う」
「そか。俺も来月の末までは、早いかな」
「良かった……」
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