コーチの企み

・作

ママさんバレーのコーチをつとめる古賀一真は、まだ20代前半の青年だが根っからの熟女好きだった。コーチになってから1年の間にチームの熟女8人のうち4人に手を付けた一真が、この日狙っていたのは沢井理恵だった。当日の欠席が多く、片付けの段階で2人きりになった理恵がひとりで着替える更衣室に忘れ物を届けた一真。着替え途中で無防備にドアを開けた理恵のタンクトップ姿に我慢できなくなった一真は…

「やだ!息子のお迎え行かなきゃ!」

がらんとした小さな体育館に、声が響いた。
時計を見た河井聡子が慌てた様子で沢井理恵に駆け寄った。

「沢井さぁん、今日後片付けお願いしていい?私行かなきゃで…」

申し訳なさそうな表情を見せるが、聡子のこれはいつものことである。

「大丈夫よ、早く息子さんのとこ行ってあげて」

理恵は笑顔でそう答えた。

「ありがとう!コーチも沢井さん手伝ってあげてくださいね、じゃ、お疲れさまですぅ」

「はい、お疲れさまです」

聡子が足早に体育館を出ると、残された理恵とコーチの古賀一真は顔を見合わせて苦笑いをした。

「コーチ、大丈夫ですよ、片付けは私ひとりで」

「そういう訳にはいきませんよ」

「すみません」

「いえいえ」

一真がこのママさんバレーチームのコーチをするようになって1年近くになるが、本来8人いるメンバーがそれぞれに事情があって欠席した今日の練習には、聡子と理恵の2人しか来ていなかった。

「心配ですよね、皆さん。お子さんの体調とか」

流行の感染症の影響で急に人が休む状況にも皆慣れつつあったが、出席が2人だけでは今日の練習自体を休みにしても良いくらいだった。
しかし一真にはひとつ企みがあったため「体育館も押さえてることですし、普段より軽めでやっていきましょう」と2人に声をかけ、結局練習を行った。

「確かに…沢井さんも気をつけてくださいね」

「ええ、うちは夫の職場も人が多いから心配で」

ネットを片付けながら、和やかな雰囲気で会話をした。
朗らかに笑う理恵は、2人きりでいても一真に対する態度は少しも変わらない。
一真を男として見ていない。
女として少しも警戒していない。
そんなところに一真はひとりぞくぞくと震えるような興奮を覚える。

一真はまだ20代前半だが、極端な熟女好きだった。
熟女の何が良いと言って、目の前の男に自分が性的な目で見られていると少しも思っていないところだ。
自分では「女を降りた」と思っていたはずの女性が、驚きながら「女の顔」になっていく瞬間が一真は大好きなのだった。

ママさんバレーチームのコーチを引き受けたのも、もちろん熟女目当てだった。
一真の勤める会社の事務パートだった聡子にバレー経験を買われて誘われた時には心の中で大きくガッツポーズをしたものだ。
その聡子をはじめとして、1年の間に8人中4人と関係を持った。
そして今日、5人目となる理恵とセックスするのに好都合なチャンスが回ってきたというわけである。

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