このストレス社会の産物

・作

起きて仕事して飯食って寝る。趣味もない、友達もいない、彼女なんて勿論いない。無味乾燥な人生を惰性で生きていた三十路の男に、ある日突然そのチャンスは訪れて…。清楚可憐な隣人嫁を、社畜が鬼畜に孕ませレイプ!

今日も仕事、明日も仕事、休日返上接待ゴルフ。

俺は鏡に向かって髭を剃りながら、最近また一段と濃くなった目の下のクマをなぞった。

終電で帰宅する度に、こんな会社辞めてやると寝酒をあおるのだが、再就職のあてもなく、結局朝になればこうして体が勝手に出勤準備を始めてしまう。

…会社と家を往復する、つまらない人生。

頬の泡を流して、しばらくタオルに顔を埋めていると、ガチャリと隣の家の扉が開く音がした。

「いってらっしゃい。お弁当持った?」

「うん。あっ、今夜送別会があるんだった。遅くなるから、先に寝てて」

「はぁい。今日も頑張ってね」

コツコツと靴音を響かせ、開けていた小窓の向こうを、痩せた眼鏡の男が通り過ぎる。

隣の旦那はどこにでも居そうな、冴えない30くらいのサラリーマン。

なのに奥さんは、若くて小柄で滅茶苦茶カワイイ。

隣人だけではない、休日のショッピングモールなんかに行けば、同じように冴えない男たちがそこそこ綺麗な奥さんと子供の1、2人でも連れて、家族サービスに勤しんでいる。

…自分とあの父親たちと、何がそんなに違うのだろう。

俺は無駄に時間をかけて着古したスーツを身に着け、誰に見送られることもなく部屋を出た。

 

その日は珍しく定時で仕事が終わった。

だからといって何の予定があるわけでもなく、いつもと同じように定食屋で軽い晩飯を食って、まっすぐ家に向かう。

丁度下校時刻と重なったようで、側を通り過ぎる高校生達の青春真っ只中の会話が聞こえ、たった10年ちょっとで夢も希望もなくなった自分が、ひどく惨めな存在に思えた。

マンションのエレベーターに乗り込み、ボタンを押して目を閉じる。

…ああ、疲れた。

「…あっ、すみません、乗りますー!」

「!」

突然掛けられた声に、慌てて『開く』を連打する。

コンビニの袋を持ち、少し恥ずかしそうに乗り込んできた隣の奥さんは、人懐こくおかえりなさい、と言った。

「今日はいつもより早いんですね!お疲れ様です」

「あっ、ああ、ハイ…ははは…」

時間は早いが風呂上りなのだろう、何となく濡れているような髪からシャンプーの良い香りがして、変に緊張してくる。

ぷっくりして血色のいい唇。

華奢なわりに大きそうな胸。

ショートパンツからのぞく、柔らかそうな白い太腿。

―――遅くなるから、先に寝てて。

ピンポーン、という音がしてエレベーターのドアが開き、奥さんは先に降りて歩き出す。

廊下を肌寒い風が吹いて、またさっきの良い香りがした。

「じゃあ、おやすみなさ…、…!」

…魔が差す、とはこういうことを言うのだろう。

俺の部屋の前でちょっと振り向いて、何か言おうとした奥さんの口を、俺は咄嗟に手で塞いだ。

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