元カノは人妻キャバ嬢 (Page 6)

「和也が優しすぎるから…あんな優しいセックス久しぶりで、怖くなっちゃったんだよ」

性急に挿入を求めた理由を尋ねると、未来はそう言った。

「あれくらいで優しいとか、旦那になにされてんだよ」

ぞんざいな扱いに慣れすぎている。
未来にとっても娘にとっても、おそらく未来の夫にとってもプラスはない状態だ。
和也は、ベッドを出てシャワーに向かう未来に向かって言った。

「お前の旦那、治療が必要なんじゃないか」

「…」

「行政に相談した方がいい。旦那と一緒じゃなくていいし、俺がついて行っていいならそうする。少なくとも子どものためを思うなら、お前が旦那に引き摺られてる状態は何とかするべきだ」

未来は振り返って、少し怯えたような顔で和也を見た。

「俺とのことは、ずっと後でいい。今夜限りだっていいよ。でも友達として、旦那とのことはちゃんと考えてほしいし俺にできることはしたい。お前には幸せになってほしいんだよ」

和也が絞り出した声で訴えると、未来は観念したように俯いた。

「…ありがとう、ちょっと考えさせて」

そしてそのまま何も言わず浴室に入っていった。

こうなってしまうまで、和也はここまで口を出すべきかずっと躊躇っていた。
しかしやはり今夜限りで彼女の人生と離れてしまうのはどうしても嫌だと思ってしまったのだ。

何が、どこまで出来るのかはまだわからない。
しかし少なくとも助けを求められる相手がいると知らせただけでも意味はあると、シャワーの音を聞きながら和也は思うのだった。

(了)

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