泣き虫な幼馴染みは処女なのにとっても積極的だった件

・作

幼馴染みの山路信子とセックスしたオレが、告白しようとした瞬間に現れたのは、二人の幼馴染み、太田勝子と中島秀子だった。二人にセックスしていたことはバレなかったかわりに、オレは信子に告白もできなかった。そして、何故か信子からは肉体関係を持ったことを口止めされる。その理由を尋ねようと家に信子を呼んで、信子と良い雰囲気になったところに訪ねてきたのは、思い詰めたような勝子だった。信子をクローゼットに隠し、勝子と話をすることになる。部屋に入ってきた勝子は、オレに恋心を告白し、押し倒してくる勝子。オレは信子に見られながら、流されるままに勝子とも関係を持ってしまうのだった。

 徐々に闇色に染まっていく空を眺めながら、オレ、伊藤光正は現実感を持てずにいた。
 オレの横では、幼馴染みの山路信子が制服を着直す音がしている。
 その音を聞いていると、否応なく実感させられる。

『オレ、信子とヤっちゃたんだよなあ』

 別に嫌なわけがない。
 むしろ嬉しいくらいだ。
 だけど、あまりの急展開に頭が追いついていなかった。
 仲の良い三人の幼馴染みの中では一番当たりがキツかった信子。
 そんな彼女がオレのことを好きだった。
   
『嬉しいけど、嬉しいんだけど、あっ……』

 ちょっとした感動状態にあったオレは、ふと大事なことに気が付いた。
 そういえば信子からは好きだと言われたが、オレはその答えを返していない。
 うっかりにもほどがある。
 オレは小さく息を吸い込むと、信子の方を向いた。

「あのな、信子……」
「ん? 何よ……」

 改めて名前を呼ばれ、訝しげにオレの方を向く信子。
 いつものように斜に構えたような態度だった。
 だけど、オレには分かる、その瞳の色が何かを期待していることに。

「あのな、オレとつ――」

 オレが告白しかけたときだった。
 勢いよく屋上の入り口のドアが開き、元気のよい声が響いた。

「あ~、信子見つけた~! もう、学校中探し回ったんだよ~」

 それは、オレと信子の大事な幼馴染み、太田勝子の声だった。
 学校中を走り回ってきたのだろう、額に汗をかいている。
 そして、感激のあまり涙目になっていた。
 もちろん、勝子の後ろには当然のようにもう一人の幼馴染み、中島秀子が立っている。
 貯水タンクの裏に隠れていた信子を見つけきらず、屋上を立ち去ったはずの二人が再び屋上に戻ってきたのだ。

「やっぱりここいたのか……、というか光正も見つけたんだったら、呼ぶようにと言っていなかったか?」

 不機嫌そうな秀子の声。
 学校中をうろつき回ったせいだろうか、明らかにウンザリしたような様子だった。
 流石にオレは罪悪感を覚えていた。
 二人が一生懸命信子を探している中、俺たち二人は散々セックスをしていたのだ。
 流石に申し訳ないなあという気持ちになってしまう。
 どうやらそれは信子も同じらしい。
 恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら、下を向いて肩を震わせている。

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