泣き虫な幼馴染みは処女なのにとっても積極的だった件 (Page 2)

「それにしても、二人とも何か汚れてない?」
「うむ、まったく何をやっていたんだ? 酷い有様だぞ」

 何ってナニだが、という下ネタが頭に浮かんだが、流石に黙っておいた。
 ちらりと信子の様子を窺うが、相変わらず下を向きっぱなしで、とても言い訳できそうにない。
 果たして何と説明するべきか、オレはすっかり困ってしまっていた。
 下手な言い訳は秀子に看破されるだろうし、不思議そうな顔をしている勝子も何を言いだすかさっぱり読めなかった。
 打つ手なし、そんな言葉が頭をよぎったときだった。
 
「……まったく、こんな時間になってしまったら補習どころではないだろう。仕方ない、二人とも帰るぞ」

 あっさりとそう宣言して、俺たちに背を向ける秀子。
 困惑するオレと信子の手を勝子が引っ張ってくる。 

「も~、さっさと帰ろうよ~。私お腹空いちゃったよ~。そだ、ハンバーガー食べて帰ろ~」
「はっ?」
「いや、ちょっとそれは……」
「え~、信子食が細いんだから食べないと~」
「そうだな、信子はもう少し食べた方が良い」

 いつものような勝子と秀子のお誘い。
 だけどいつも通りでは困るのはオレと信子だった。
 流石にこんなドロドロの姿で、外食できるはずはない。

「ちょっと、私汚れてるから早く帰りたいんだけど?」
「そ、そうだな、オレもそっちが良いと思う」
「あ……、それもそうだね~」

 あっさりと勝子が折れてくれて助かった。
 オレは秘かに胸を撫で下ろすのだが、そう簡単に危機は通りすぎない。
 次の問題は信子の歩き方だった。
 昇降口に向かう道すがら、明らかに信子の歩様はおかしかった。
 当たり前のことだが、股の間に違和感を覚えているらしい。

「ん? 信子、どうしたんだ?」
「どこか具合でも悪いの~?」
「何でもないって」

 違和感に気付いた秀子と、心配そうな表情を見せる勝子。
 だが、信子は何でもないという風に手を振った。
 もちろん、理由が分かっているオレは何も言うことができない。
 二人の訝しげな視線に耐えながら、何とか昇降口まで辿り着くことができた。
 
「じゃあ、今日はまっすぐ帰るよ」

 通学靴に履き替え、校門を出たところで信子がそう言った。
 彼女は、いつもなら遠回りして、勝子の家のそばを経由して帰る。
 しかし、今日は当然のことながらそんな寄り道をしている余裕はない。

「そっか~、じゃあ、また明日ね!」

 明るく手を振る勝子に対して、信子はどこか複雑そうな笑みを浮かべている。
 オレは仕方ないと思いながらも、少しだけ寂しさを覚えてしまう。
 着いていこうか、そう言おうとした時だった。
 その時、信子がじっと俺を見つめてから、唇を指でなぞった。
 まるで何も言うなと言うように。
 どうやらオレの気持ちは彼女に通じていたらしい。
 だからオレは口を開かなかった。

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