泣き虫な幼馴染みは処女なのにとっても積極的だった件 (Page 5)
翌日、朝から三人と登校したが、まったくいつも通りだった。
確かに昨日のメッセ通り、信子の態度にこれまでと変わるところは全くない。
強いて言えば、下半身回りに筋肉痛が出ているらしく、とても歩きにくそうにしているくらいだった。
「信子~、具合悪そうだけど大丈夫~?」
「ん、だ、大丈夫。大丈夫だから」
心配そうに目をうるうるさせる勝子。
信子は困ったように首を振ると空元気を見せた。
「でも、信子どうしたのー? あんまり運動しないよね、そんなにキツくなるくらい、何かしたのー?」
「確かに、勝子が言うのももっともだな。信子、どうしたんだ?」
「別に……。だた、ちょっと体鍛えようと思って……。スクワットしたら、このザマよ……」
「ふーん」
「なるほど」
三人のやり取りは、いつも通り何気ないように見える。
だけど、真剣で切り結んでいるような気がするのは、オレの考えすぎだろうか。
何よりも、いつもだったらもっと喜怒哀楽がはっきりしている勝子の目。
妙にまっすぐで定まっているのは、明らかにおかしかった。
『というか、勝子、あいつ気付いてるんじゃないのか?』
そんなオレの予感はあったものの、それ以上の追求はなかった。
そんな朝の時間以降は特に何事もなく、あっという間に放課後になった。
今日は、勝子が部活で、信子が進学課外なので、必然的に俺と信子は二人きりで帰ることになる。
昨夜の約束を考えると非常に好都合だった。
「じゃあ、信子帰ろうぜ」
「はいはい。……行けば良いんでしょ」
わざとらしく溜息を吐くものの、信子はスッとオレの横に並ぶ。
どうやら無駄な抵抗をする気はなかったらしい。
しかし、オレの家に向かう途中も信子は何か考え事をしているようで、一切話に乗ってこない。
結局、家に着くまで信子は黙ったままだった。
「じゃあ、上がってくれ。今日は皆遅いから、気にしなくて良い」
「……えっと、光正。靴は持って上がってもいい?」
「はぁ? まあ、良いけど。別に玄関に置いててよくね?」
正直、オレは信子の行動の意味が分からなかった。
「えっと、あんたのご両親帰ってきたら気まずいじゃない……」
「……いや、そこ気にしなくても。てかウソだろ?」
しかも言い訳がかなり嘘くさかった。
オレは思わず指摘してしまう。
「……もし、ナニかあったらどうするのよ……」
「あっ……」
そういうつもりは欠片も考えていなかったが、確かにその可能性はないとは言えない。
というか、チャンスがあればしたい。
しかし、それを考えているのに、なんで二人に秘密にするのか。
オレにはそこが分からなかった。
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